既得権とは「実績」のことである。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






夕刻の備忘録 様のブログより。





国民は「既得権益」という四文字言葉に騙されてはならない。既得権と聞くだけで、あるいは永田町、霞ヶ関と聞くだけで「反応する」、思わず反応するように「マスコミにより仕向けられた体質」を改善せねばならない。全ての「既得権」を否定するような論調が悪質な誘導であることは、この言葉を「実績」と読み替えてみれば直ちに分かる。

ある権利を手に入れるためには、それなりの「実績」が必要なはずである。たとえそれが怪しげなものであっても、それなりの「時間」が掛かっているはずである。それなりの時間が必要であれば、その間に他人の目が入る。チェックが利く。

実績ゼロの素人が、自らの無力を逆手に取って、「既得権と戦う」と称して、「実績」とそれに必要な「時間」を省略して、権力を手に入れようとする。これ以上に危険なことが他にあるだろうか。「既得権と戦う」と自称する人間を、諸手を挙げて迎える人は、専門職に素人をつけて喜ぶ愚者である。知らず識らずの中に、革命家に玄関の戸を開ける愚者である。

橋下氏力説「選挙という戦で財源と権限奪う」
 松山市議13人でつくる政治団体「松山維新の会」主催の政治フォーラムが26日、松山市内であり、衆院選での候補擁立を検討している地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長と中村知事が地方分権などについて意見交換した。
 橋下市長は、政治の正常化のためには統治システムを地方分権型に変え、国は外交や安全保障、エネルギー政策などに専念すべきだとの持論を展開。「国のかたちを変えるには選挙という戦で、財源と権限を奪うしかない。話し合いでは無理。過半数が必要だ」と訴えた。
 中村知事は国政について、「財政も統治構造も深刻な状況。ここで変えられるかどうかによって未来はがらりと変わる。失敗したら、日本は坂道を転がり落ちる段階だ」と応じた。
 一方で、知事は衆院選で自身が大阪維新の会に協力するかについては触れず、終了後、取材に応じた池本俊英・松山維新の会会長も選挙協力について「候補者を(独自に)擁立するかを含めて検討中」と述べるにとどまった。
(2012年8月27日08時01分 読売新聞)

 http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20120826-OYT1T01048.htm

毎度毎度、訳の分からないことを勢い任せで話し出す、実に見事な扇動家である。朝に夕にとマスコミ対応に追われ、休日は地方遊説に精を出し、一体何時「大阪の問題」に取り組むのか。詐欺師、扇動家の手口を知れば、「魔法も解ける」と思うのであるが、なかなか夢見がちな人々には、難しいようである。

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詐欺師の常套手段の一つが「戦域拡大」である。「小さな問題を大きな問題にすり替える」のである。誰でも出来る「その場逃れ」である。責任放棄の極みなのであるが、それがある角度から見ると「既得権と戦う英雄」にも見えるのである。まさに魔法である。

例えば、「ゴミ収集作業」が上手くいかないとする。
そこで「収集に関わる職員の意識が問題だ」と敵を定める。
こうなれば、真の問題が何処にあるかは無関係である。
怠惰な職員と戦うリーダーを演じる。
その中で最も悪質な連中を、表舞台に引き摺り出す。
誰もが驚くような悪質な実例を「利用する」のである。

さらにマスコミを使って、対決の構図を煽る。
しかし、元々こんな問題に真面目に取り組むつもりはない。
相手側が折れれば、それでよし、さもなければ話題を変える。

そして、収集が滞るのは「行政全体の問題だ」とすり替える。
次に「行政の不透明さ」に歩を進める。
調査の結果、二重の無駄が見付かったと見栄を切る。
「ここに二重行政の問題がある!」と叫ぶのである。

この段階で、ゴミ収集の問題は、行政停滞の典型例にまで持ち上げられ、遂に「府だけでは解決出来ない、市行政も巻き込んで一気にやらなければ何も進まない」というところまで話は拡げられる。だから府市改革だ、道州制だ地域主権だと、次から次へと中身の無い言葉を、速射砲のように浴びせて回る。

そして、遂にこの問題を根本的に解決するためには、「国政に打って出るしかない」というところに辿り着く。「週一回のゴミ収集を、二回にすれば済む」程度の話が、自分が国政に出て、内閣総理大臣になり「国の形を変える」ところまで進まなければ全く解決しないのだ、という途方も無いホラ話にまで拡大されるのである。

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「国のかたちを変えるには選挙という戦で、財源と権限を奪うしかない。話し合いでは無理。過半数が必要だ」と訴えたという。誰がそんなものを「注文」したのか。「話し合いでは無理だ」と誰が決めたのか。

「実績を持った組織」を、さしたる根拠も無く「既得権益だ」と誹謗中傷し、その財源と権限を、「実績ゼロ」の自分達が奪うと豪語する。それでは既得権が旧から新に移るだけの話ではないか。そして、それは「プロからアマに行政が移行された」ことを意味している。即ち、新たなる行政の停滞を生むだけである。

選挙が全て、選挙に勝てば何でも許される。それは「民主主義だから」と宣うのであろう。残念ながら、それは民主主義でも何でもない。自らの正当性を有権者の投票行動のみに託しながら、その実、有権者の「思慮分別」には全く期待していない。要するに騙せる連中を、騙せるだけ騙して、自分達の欲しいものを得よう、そしてその結果が悪ければ、「我々は有権者に選ばれたんだ、その責任は有権者にある、我々には無い」と嘯いて、そそくさと逃げるのである。

「政治の正常化のためには統治システムを地方分権型」に変えるというが、今の政治が正常でないというなら、何処がどうダメなのか、その詳細を語るべきである。しかし、そんな真面目な話は一切しない。ダメだダメだと連呼して、その解決策が「地方分権型」だと断言する。どんな問題があるのか、それを明らかにせず、しかしながら、その問題は「地方分権」により解決するのだと主張する。単なる詐欺である。

話す言葉のことごとくに中身が無い。何故、中身が無いのか。あっては困るから、わざわざ中身の無い言葉を選んでいるのだ。中身があれば、その詳細を問われる。それには答えられない。よって、徹底的に中身を排除した「四文字熟語」で遊んでいるのだ。曰く「地方分権」「定数削減」「行政改革」、そして「維新回天」である。

彼等には天を回す正当性も、力量も無い。そもそもそんな必要性は何処にも無い。しかし、口だけは達者である。有権者を愚弄し、その生活を疲弊させ、安全も安心もドブに捨てて、「選んだオマエ達が馬鹿なだけだ」という捨て台詞を用意している人間に、またしても多くの票が集まるのだろう。

何故なら、人は騙されることを欲しているからである。自ら騙されたい人に、付ける薬は無い。もはや洗脳には「逆洗脳」しか対策が無いのかもしれない。こちらも戦域拡大方式によって、対象を拡げ、「大阪のゴミ問題を解決するには、この狭い地球では無理だ。月面基地の建設より他に方法はない。今こそ私を初代月面大統領に」とでも訴えるべきなのかもしれない。