【都道府県 伝統の教え】静岡県
江戸時代の国学者で万葉集研究や歌人としても知られる賀茂真淵(かものまぶち)の生涯を漫画にした「賀茂真淵先生」が今春、出身地である浜松市内の107の全小学校や図書館、児童館、公民館などの公共施設に1万4千部配布された。
真淵の出身地にある県居(あがたい)小学校では戦前から真淵の功績をまとめた「県居読本」という副読本があった。「賀茂真淵先生」を制作した編集委員会によると、市内の他の小学校でも使用できないかと模索したが、低学年では内容が難しいと判断し漫画化に踏み切った。
真淵は万葉調和歌を復興し、教育者として340人以上の門人を育て、中には古事記の研究で知られる国学者、本居宣長(もとおりのりなが)のような逸材もいた。
漫画では万葉集を見た男の子たちが「漢字ばっかりじゃないか」と驚き、「なんだこれは…こんなの読めねーよ」というように、分かりやすいエピソードで展開され、子供たちが郷土の偉人を知り、郷土に誇りを持てるようにする。
さらに、真淵が生涯打ち込んだ万葉集の研究を通し、日本人の感性や精神性などを身につけてほしいという。