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【書評】『図説 日本国憲法の誕生』西修著





■“出生の秘密”知るため必読

 憲法施行65年に合わせ、憲法学者の西修駒沢大学名誉教授が憲法の成立過程を一般国民に向けて分かりやすく解説した本だ。

 起草にかかわった連合国軍総司令部(GHQ)民政局のメンバーの写真や、最高司令官のマッカーサー元帥が民政局に指示した「マッカーサー・ノート」、民政局のハッシー海軍中佐が残した「ハッシー文書」などの資料写真がふんだんに掲載されている。

 西氏は、起草の中心メンバーだった民政局のケーディス次長や、人権に関する条文を担当したシロタ女史ら8人にインタビューした。さらに、憲法成立過程に関する多くの極秘文書を米国で発掘した業績で知られる。

 特に、「芦田修正」をめぐり、重要な事実を突き止めた。芦田修正は、昭和21年夏の衆院憲法改正小委員会で、委員長の芦田均氏が示したものだ。憲法9条2項の冒頭に「前項の目的を達するため」との文言を挿入し、後に日本が自衛のための「戦力」を持てるようになったとされる。

西氏は米マッカーサー記念館で、これを裏付ける極東委員会関係文書を発見した。そこには、GHQの上部団体である極東委員会が芦田修正によって日本が軍隊を持てるようになったと判断し、歯止めとして、大臣が軍人でないことを求める「文民条項」の導入を日本に迫った経緯がはっきり記されていた。

 また、西氏は米メリーランド大図書館で、憲法制定に関するGHQによる検閲の実態を調べ、憲法が「米国製」であるという言論をGHQが徹底的に封じ込めた事実を明らかにした。

 これらの研究成果も簡潔にまとめられ、この本に盛り込まれている。

 GHQと日本側だけでなく、極東委員会も加えた三者の関係を解き明かしているのも、この本の特徴だ。極東委員会が憲法施行から2年後の昭和24年5月、憲法をほぼ承認し、2年間の“保護観察期間”がひっそりと解除されたと、西氏は書いている。

 国民が日本国憲法の“出生の秘密”を知るための必読の書である。(河出書房新社・1890円)

 評・石川水穂(論説委員)





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