沿岸での商業捕鯨を再開すべきだ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





【40×40】山田吉彦



今年も「ホエールウォーズ」の季節がやってきた。ホエールウォーズとは、環境テロリスト団体と呼ばれるシーシェパード(SS)の反捕鯨活動を放映する米国のテレビ番組のタイトルである。そもそも日本の調査捕鯨船と戦わなければ番組が成り立たないのだ。

 例年、強い異臭を発する酪酸入りのビンを船内に投げ込んだり、ロープをスクリューに絡ませようとする。昨年は、未来船もどきのアディ・ギル号を捕鯨監視船に体当たりさせる暴挙にでた。そして、ア号を自沈させ、日本の責任にしたのだ。この沈没事件がSSの自作自演であったことは、ア号の元船長の自供により明白である。

 賢くてかわいいクジラを食べる野蛮な日本人を懲らしめるというコンセプトは欧米人の間で好評で、今年は、番組のスポンサー収入も増加し、SSが受け取る資金は前年の3倍だという。新兵器は、捕鯨妨害船ゴジラ号とヘリコプター1機である。ゴジラ号は、ア号の約3倍の大きさで破壊力がある。ヘリによる空からの攻撃も可能だ。今年は、海上保安官が乗り込み、不測の場合に備えているものの、相手が「戦争」を仕掛けていることを忘れてはいけないのだ。

 ただし、日本の調査捕鯨の続行については、検討すべき時期だろう。残念ながら調査データに対する欧米の評価は低く、商業捕鯨の隠(かく)れ蓑(みの)と考えられている。また、捕獲した鯨肉は市場に持ち込まれるが、在庫が多いようだ。そろそろ調査捕鯨から撤退し、正々堂々と沿岸の商業捕鯨を再開すべき時期ではないか。国民が真に鯨肉を必要とするならば、国際批判にも耐えるだろう。ノルウェーは、国際捕鯨委員会に異議を申し立て、商業捕鯨を続けているのだ。むしろ商業捕鯨によって、クジラの需給を市場原理に任せれば、適正価格で鯨肉が売買されるとともに、調査捕鯨より捕獲数は減り、資源の保全につながる。沿岸捕鯨は、日本の伝統である。南極海ではなく、地の利のある日本沿岸で、SSと戦うのである。


                                 (東海大教授)