不安を感じたためです。
数回のCALLのあと、
彼の携帯電話に出た声はお母様のものでした。
その状況に、一気に私は不安が高まりました。
「あれ?○○君の携帯電話ですよね?」
「もしかして、○○のお友達ですか?」
「はい、中学時代からの友達です。○○君は?」
「実は○○は去年の・・・。」
悲しい事に、私の不安は的中してしまいました。
また一人、大切な友人を失いました。
彼は2年前にステージ4の胃癌が見つかり、胃の全摘出を
行っていました。ただ、若くしてのステージ4という状態もあり、担当医からは余命4ヶ月と診断されていました。
私が病気の事実を知ったのは、すでに術後数ヶ月経過してからでした。それも、私から彼の近況を問わなければ
知らされていなかっただろうと思います。
何故なら、彼は自分の事は話さないくせに、
人の心配はするような気心優しい男だったからです。
癌の事実を知った私は、電話は体力的に辛いだろうと、
メッセージ交換をしていました。
余命宣告を一年も乗り越えた事や、
ただでさえ痩せ気味だったのに20kgも体重が落ちた事等を聞くたびに胸が締め付けられました。
無理をさせたくない気持ちもあって、頻繁にメッセージしては悪いなんて考えていたのけれど、
今となっては、もっともっと、くだらない話で良いから話しておけば良かったと悔やんでいます。
彼の見た目は少し強面でしたが、内面は本当に優しく、
私よりもはるかに寂しがりやのくせに、
周りにはそれを感じさせないタイプでした。
彼は、亡くなる半月前くらい突然にお母様へ
「俺の携帯の番号の方が覚えやすい並びだから、
俺のに番号を切り替えなよ。」
と何度もすすめてきて、あまりにもしつこいので、
わざわざ番号を変えたのだそうです。
そしてさらに10日程後に消え入るような声で、
「ありがとうね。」
とお母様へ呟いたのが最後の言葉だったそうです。
ただ、彼はお母様に自分の交友関係を伝えたがらなかったので、私は連絡を受ける事すらなかったのです。
でも、彼はきっと、心配した私から電話が来るのを
わかっていたのだと思います。
だから、お母様の携帯番号を無理言って変えさせた。
彼はそういうヤツだったんです。
トモヤ、ごめんな、ごめん。本当にごめん。
そんな身体なのに気を使わせてしまったな。
バカだな、今さら俺になんか気を使うなよ。
俺たち長い付き合いなんだからさ。
でも、ありがとうな。
おかげでちゃんとお前の死を知ることが出来た。
ごめんな。
もっと笑わせてやれば良かった。
不安だったよな。怖かったよな。
ごめんしか言えない。
先に行ってるヒデオやマサカズと会えてるといいな。
俺はまだ一つ大きな事やらなきゃいけないから
まだまだ当分は行けないけど、
いつか必ず会おうな。
長い間、ずっと俺の友達でいてくれてありがとう。
またな。