「いーち、にーぃ、さーん、しーぃ、ごーぉ、ろーく、しーち、はーち、きゅーう、じゅう!」
さぁ、みんな、どこにいるのかなっ♪
「『我慢してればいつか幸せになる』君、みーつけた!」
缶を蹴らなきゃ。
…あれ、缶はどこだろう。
すっかり遠くまでを探しに来たから、分からなくなっちゃった。
ん?なんだ?
『我慢してればいつか幸せになる』君がこっちに猛スピードで走ってくるぞ!?
なに?なに?
うわー!!
ボクは怖くなって思わず逃げだした。
それでも『我慢してればいつか幸せになる』君はボクを追いかけてくる。
怖いよ!どうして!?
もうだめだ、掴まる…!
スコーン!
「やったぁ、缶蹴った♪逃げろー!!」
…ボクが唖然としている間に、観念たちはまた隠れてしまった。
見つからないと思った缶は、ボクと共にずっとあったんだ。
『本質』 という缶は、ボクと共にしか存在できない。
よし、もう一度、みんなを探しに行こう。
きっとすぐ近くに隠れているはずさ。
だって見つけてもらえないかくれんぼほど寂しいものはない。
待っててね、みんな。
「『被害者になりたい』君、みーつけた!」
ボクは足元の缶を、思い切り蹴飛ばした。