ゆめゆめこのじ

ゆめゆめこのじ

価格:2,100円(税込、送料別)



【あらすじ(「BOOK」データベースより)】


京の花街を彩る遊郭。そこに息づく「ゆめ」と呼ばれる女たち。江戸吉原から始めて京にやってきた秋雪が出逢ったのは、こじきに身をやつした桂小五郎、相撲力士に間違われた西郷隆盛、そして、“恋文”をなくした坂本龍馬─。果たして薩長同盟は無事結ばれるのか、そして龍馬暗殺の真相とは。遊女たちが創った二つの夜の物語。


【抜粋メモ】


小五郎:だが耐えてくれ。どうかどうにか耐えてくれ。これも全て長州の復活の為だ。

お前たち町民の期待は言わなくてもわかってる。いや、言わずもがな。
出雲:同じ意味です。
小五郎:ここまで着々と準備を進めてきた。この京の京本政樹とまで言われたこの俺は必ず長州と共に復活する。
出雲:あの…少しいいですか?

小五郎:駄目だ。まだ話し足りん。しかし、さすがに人斬り半次郎だ。一目見ただけで、この俺が桂小五郎だと見破るとはな。きっと俺から発する侍としての風格に…
出雲:あの、結構有名ですよ、桂さん。

小五郎:え?

驚く小五郎。

出雲:ここら辺の人、みん知ってます。あの乞食、実は桂小五郎だって。

小五郎:え、そうなの?
出雲:はい。夜な夜な乞食が実は俺が桂小五郎だとくだ巻いてるって、いつの日か必ず長州と共に復活するって…。

小五郎:あれ…そんな俺しゃべってたかな?

出雲:はい。僕ももう聞いたの三回目です。

小五郎:あ、そんなに?ちょっと、しゃべりすぎたかな?

出雲:たぶん…だから逆に、偽物なんじゃないかって話さえ出てます。捕まらないのは、そのせいですよ。

小五郎:あ、そう…ラッキー。 [P.]

花や散るらん

花や散るらん

価格:1,575円(税込、送料別)


【あらすじ (BOOKデータベースより)】


気鋭が描く全く新しい『忠臣蔵』。雅(朝廷)と武(幕府)、西と東の戦い。



【抜粋メモ】


このころ、人々は華やかな衣装を好むようになっている。特に財力をつけた富商の夫人たちは、金に飽かして贅沢な衣装道楽にふけり、華美を競った。

これを<衣装くらべ>、<伊達くらべ>などと言った。
中でも有名になったのが、江戸の豪商石川六兵衛の妻だった。

延宝から天和年間にかけて衣装道楽で江戸一番の評判をとっていた六兵衛の妻は、京に上がり、京で最も衣装に贅沢をしていた難波屋十右衛門の妻に<衣装くらべ>を仕掛けた。


十右衛門の妻が緋繻子に洛中の図を縫い取りした艶やかな小袖だったのに比べ、六兵衛の妻は地味な黒羽二重の小袖だった。

一見して絢爛豪華な十右衛門の妻の勝ちだと見物人も思った。

ところが、近づいてよく見ると六兵衛の妻の黒地の小袖には、黒い糸で細やかに南天の枝模様が刺繍され、赤い実として高価な珊瑚が縫いつけられていた。
さすがの京の人々もこの贅沢さには度肝を抜かれ、軍配は六兵衛の妻にあがった。 [P.72]

小説東のエデン
神山健治 メディアファクトリー 2009年09月発売 単行本 1,470円(税込)


読書のキロク※ネタバレ注意※

【あらすじ(「BOOK」データベースより)】


100億円で、日本を救え─正体不明の人物Mr.OUTSIDEは、12人の“セレソン”を選出し、あらゆる願いを叶えてくれるノブレス携帯を託した。与えられたのは100億円、課されたのは「日本を救う」という使命。一方、サークル「東のエデン」に籍を置く大学生・咲は、卒業旅行で訪れたホワイトハウス前で、全裸で記憶喪失の男・朗と出会う。彼の手には、拳銃とノブレス携帯─朗は、咲は、そしてこの国は、一体どこへ向かうのか。


【抜粋メモ】

「ウチへおいでよ。俺が全部背負い込んでやるから。咲の話で、俺が何をすりゃ
いいのかも分かったし。だから無理して働くことないよ、俺に任せて。それにこ
の国はどのみち、一旦は誰かが何とかしなきゃならないほどおかしなことになっ
てるんだからさ。咲に牛丼をかけたようなオッサンたちを、まとめてひっぱたい
てやるよ。俺たちをただの"消費者"としてしか、見ていなかった連中を、まとめ
てね…」
滝沢は咲から離れ、大桟橋の欄干に凭れた。
咲は熱っぽく語る滝沢に感化されて、思わず立ち上がった。滝沢の背中を見つめ
る。

「一00億やるから、この国を救えだって…いい加減にも程があるよ。だからい
いんだよ、咲も働かなくて
いずれ困るのはあいつらさ。それまでは何もしなくていい--それでも俺たち、
もうしばらくはこのままで生きていけるよ」

「…あなた、本当は誰なの?」

「分かんない。でも多分、これから分かるよ」

そう答えた滝沢の顔は、全てを知りながら確信的に悪をなそうとする悪魔のよう
にも、純粋無垢な天使のようにも見えた。 [P.141]

人斬り以蔵改版
司馬遼太郎 新潮社 2004年12月発売 文庫 700円(税込)



読書のキロク※ネタバレ注意※

【あらすじ (BOOKデータベースより)】


自己流の暗殺剣法を編み出し、盲目的な殺し屋として幕末の世を震えあがらせた岡田以蔵の数奇な生涯を追跡する表題作。日本陸軍建軍の祖といわれる大村益次郎の半生を綴った『鬼謀の人』ほか、『割って、城を』『おお、大砲』『言い触らし団右衛門』『売ろう物語』など。時代の変革期に生きた人間の内面を鋭く抉り、長編とはまた異なる味わいの、人間理解の冴えを見せる好短編、全8編。


【抜粋メモ】


「天誅です」
と、以蔵は、すがりつくようにいった。が飼いぬしの目は冷たかった。
「それはわれわれのいう言葉だ」
以蔵は、だまった。言葉にさえ差別があるのか。足軽は、天誅という言葉さえつかえないのか。以蔵はあらためて師を見た。目に憎悪がこもっていた。
「なんという目をする」
武市にとっても、意外であった。この"犬"がなぜこういう目をするのか。武市にすれば、犬を教育しているつもりであった。学問をせよ、正統な尊王攘夷論を身につけよ、しかる上で天誅を云々すべきだ、と。が、すぐれた教育者でもあった武市は、他の同志や門下にはこういう意地のわるい表現でものを教えなかったであろう。以蔵に対してだけ別であった。相手の感情をいたわる必要のない足軽、下僕、子飼い弟子、遠祖の家来筋、そしてなによりも愚鈍者としてつい遇した。
「先生。…」
以蔵は、頭を垂れた。涙が膝のうえに落ちた。悔恨している、と武市は見た。が、以蔵の涙は別の涙腺から出ている。その涙腺は憎悪につながっていた。 [P.129]

デュラララ!!×5
成田良悟 アスキー・メディアワークス/角川グループパブリッ 2009年03月発売 文庫 599円(税込)


読書のキロク※ネタバレ注意※


【あらすじ (BOOKデータベースより)】


「ダラーズが、随分と変な事になってるみたいだねえ。わくわくしてこないかい、君の大好きな非日常が始まるよ?」東京・池袋。そこには再び動き始めた折原臨也の意趣返しが集う。何でも屋として仕事を請け負う異国の二人組、静雄を探し続ける家出少女、窮地に立たされるバーテン風の男、ダラーズに復讐を宣言する女たらし、ひたすら帰りを待ちわびる闇医者、何者かに狙われるクラス委員、それに気づかない同級生の少年、そして混沌の渦に巻き込まれて堕ちていく“首なしライダー”。そんな彼らのGWは、果たして日常か非日常なのか─。



【抜粋メモ】


ゾクリ、と新羅の背に寒気が走る。

自分のすぐ背後に、世界を滅ぼす魔神が誕生したような錯覚を覚え――――冷や汗を掻きながら、ゆっくりと後ろにいる男へ振り返った。

するとそこには――――

柔らかい笑顔を浮かべる、静雄が居た。

…えっ!?

初めて見るような静雄の表情に、逆に絶望的な気分になる新羅。

――――御免よセルティ、今日僕は、先に逝くかも知れない。

そんな言葉が心中に浮かぶ中、静雄は柔らかい笑顔のまま呟いた。

「はは、それは誤解だよ、アカネちゃん」

「え…」

「イザヤ君は、俺の事を勘違いしてるんだよ。俺は殺し屋なんかじゃない」

「…本当に?」

「ああ、本当さ!イザヤ君とは友達なんだけど、ちょっと喧嘩しちゃったんだ」

静雄はゆっくりと首を振りながら、肩を竦めて少女や新羅に背を向けた。

「ちょっと今から、仲直りしてくるよ」

アカネに対して無邪気なウィンクをして見せ、口笛を吹きながら部屋の外に出る静雄。

新羅は自分の全身に冷たい汗が流れていることに気づいた後、アカネを心配させぬよう、心の中でだけ呟いた。

……臨也の奴……人生にもう飽きちゃったのかな……。 [P.270]

デュラララ!!×4
成田良悟 アスキー・メディアワークス/角川GPアスキー・メ 2008年03月発売 文庫 641円(税込)

読書のキロク※ネタバレ注意※

【あらすじ (BOOKデータベースより)】


「数年前から目撃されている黒バイクというのは、貴方の事で宜しいんでしょうか?何の目的でこんな危険なバイクで街を走行しているんですか?犯罪を犯しているという意識はあるんですか?」東京・池袋。そこには様々な火種とそれに振り回される人種が集う。池袋の都市伝説を放送するテレビ局、服装と特性がバラバラの奇妙な双子の新入生、兄とは正反対の有名アイドル、ダラーズの先輩に憧れる少年、果ては殺し屋に殺人鬼、そして一千万の賞金が懸かった“首なしライダー”。そんな彼らが過ごす賑やかな池袋の休日は、今日も平和なのだろうか―。



【抜粋メモ】


両耳がペコリと前に折れた、まだ成長しきっていないスコティッシュフォールド。

毛糸玉に命を宿したようなその生命体は、ルリの顔を見ながら首を傾げ、ニーと一声鳴いた。

あまりの可愛らしさに痛みも現在の悩みも忘れかける殺人鬼。

だが――――

いつの間にか部屋の中に入ってきていた男が、白衣の男の横から手を伸ばし、ヒョイと猫を抱え上げる。

「ほら、ダメだろ、独尊丸。怪我をしている人によじ登っちゃ」

「独尊丸って」

白衣の男の言葉に、青年な無表情のまま口を開く、

「唯我独尊丸って言うんです。可愛いでしょう」

そっと猫を差し出してくる男に、白衣の男がたじろぎながら身を引いた。

「…そういうときは笑いながら差し出してこようよ。怖い」

「?笑ってますよ?」

「親父が君を見たら多分解剖したがるよ」

これでもかというほどに無表情な男の顔を見つめ、闇医者は諦めたように首を振る。 [P.242]

デュラララ!!×3
成田良悟
アスキー・メディアワークス/角川GPアスキー・メ 2006年08月発売 文庫 683円(税込)


読書のキロク※ネタバレ注意※


【あらすじ (BOOKデータベースより)】


「あんたは人を殺せるか?新宿で情報屋なんかやって、何人もの人間を好きなように弄んで。折原臨也、あんたは、人を殺せるのか?自分の手で、直接な。ナイフで死なない程度に刺して、お茶を濁し続けやがって。まあ、何を言っても…結局お前は誰か他人を使うんだろう?笑える程に、卑怯な奴だなお前は」東京・池袋。そこには寂しがり屋な過去が集う。現実から逃避し続けるボス、責任を感じている女子高生、友人の想いに気づけない少年、乗っ取りを図る男、未だ情報で人を操る青年、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。そんな彼らが過去を乗り越え、三つ巴の哀しい現実に立ち向かう―。



【抜粋メモ】

『おっ、羽島幽平じゃん。この子、最近ものすごい売れてるよな。私もこの子の演技は好きだよ』

(略)

「あれ、静雄の弟」

(略)

『は?』

「だから、この子、静雄の弟」

『うそだ!』

やはり淡々とした返答の新羅に、セルティは思わず文字サイズを大きくする。

新羅はそんなセルティを見て可愛いと思ったが、冷静を装いつつ説明をしてみせた。

「羽島幽平の羽を『わ』って読みかえて・・・わじまゆうへいわじまゆうへいわじまゆう平和島幽…まあ、読みは『へいわじまかすか』なんだけどね?兄弟そろって名前負けしてるよねぇ。兄貴は静かなんて感じとは程遠いし、弟は『幽か』なんて名前のくせにスポットライト浴びまくってるし」 [P.314]

デュラララ!!×2
成田良悟
アスキー・メディアワークス/角川GPアスキー・メ 2005年03月発売 文庫 662円(税込)


読書のキロク※ネタバレ注意※


【あらすじ (BOOKデータベースより)】


「私は、人が好きよ。誰が好きかって?違う、違うわ!私は人間がみんなみんなみんな好きなのよ!どこが好きかって?野暮なこと聞かないで!全部よ、全部!なにもかも、なにもかもが好きなのよ。だけど、あなたを愛する事はできないわ。だけど、あなたは私を愛して」東京・池袋。そこには人を愛することが不器用な人間が集う。自分の立ち位置を悩む女子高生、池袋を取材する三流雑誌記者、セクハラ疑惑の教師、黄色いバンダナを巻いた黄巾賊、池袋最強のチンピラ、様々な裏情報を操る青年、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。そんな彼らが連続通り魔事件に巻き込まれ、池袋が壊れ始めていく―。


【抜粋メモ】

「親父も御袋も、すげえ優しかった」

サングラスの奥で眼を細めながら、静雄は静かに呟いた。

「喧嘩ばっかしてた弟だって、俺が冷蔵庫を持ち上げようとして動けなくなった時、悲鳴を上げて真っ先に救急車を呼んでくれてさ、救急隊員が来るまでつきっきりで看病してくれた。…ああ、優しい家族だったよ。甘やかすって事はなかったと思うけど、俺は幸せな家庭に育ったんだと思う。」

(略)

「なのに――――なんでこうなった?」

自虐的な笑みを浮かべて、静雄は虚空に向かって寂しげに言葉を紡ぐ。

「俺がこうなった原因は何だ?少なくとも家族に問題はなかった。子供の頃にトラウマがあるわけでもないし、暴力的なアニメや漫画も見なかった。映画だって殆ど見てない。じゃあ、原因は俺か?俺しかいないって事になるよな?」

(略)

「強くなりたいんだよ」

情けない調子だが、力強い声。

「俺が原因だってんなら、俺は自分が一番許せない。喧嘩なんかどうだっていいんだよ。ただ、俺は自分を抑える力がほしい」 [P.156]

デュラララ!!
成田良悟 アスキー・メディアワークス/角川GPアスキー・メ 2004年04月発売 文庫 662円(税込)


読書のキロク※ネタバレ注意※


【あらすじ (BOOKデータベースより)】


東京・池袋。 そこにはキレた奴らが集う。 非日常に憧れる少年、喧嘩上等のチンピラ、ストーカーもどきの電波娘、趣味で情報屋を営む青年、ヤバイ患者専門の闇医者、魔物に魅せられた高校生、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。
そんな彼らが繰り広げる物語は痛快な程マトモじゃない。
だが、彼らは歪んでいるけれども――恋だってするのだ。


【抜粋メモ】


折原臨也は徹底的な無心論者だ。霊魂も来世も信じてはいない。

だからこそ人を知りたがり、他人に簡単に興味を持ち、同じくらい簡単に他人を踏み躙る。臨也は知る必要のなくなった人間に対しては、果てしなく興味が無かった。

それから10メートル程歩いたところで、二人の自殺志願者の名前さえも忘れ去った。

情報屋である彼にとって、無駄な知識は商売の邪魔でしかないのだから。

(略)

「楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。この街は情報屋の俺でも知らないことがまだまだまだまだ溢れ、生まれ、消えていく。これだから人間の集まる街は離れられない!人、ラブ!俺は人間が好きだ!愛している!だからこそ、人間のほうも俺を愛するべきだよねえ」 [P.132]

ノルウェイの森(下)
村上春樹 講談社 2004年09月発売 文庫 540円(税込)



読書のキロク※ネタバレ注意※

【あらすじ (BOOKデータベースより)】


あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと―。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。



【抜粋メモ】


「ねえワタナベ君、英語の仮定法現在と仮定法過去の違いをきちんと説明できる?」と突然僕に質問した。

「できると思うよ」と僕は言った。

「ちょっと訊きたいんだけれど、そういうのが日常生活の中で何かの役に立ってる?」

「日常生活の中で何かの役に立つということはあまりないね」と僕は言った。「でも具体的に何かの役に立つというよりは、そういうのは物事をより系統的に捉えるための訓練になるんだと僕は思ってるけれど」

(略)

「それが何かの役に立つのかしら?」

「それはその人次第だね。役に立つ人もいるし、立たない人もいる。でもそういうのはあくまで訓練なんであって役に立つたたないはその次の問題なんだよ。最初にも言ったように」

「ふぅん」と緑は感心したようにって、僕の手をひいて坂道を下り続けた。「ワタナベ君って人にものを説明するのがとても上手なのね」

「そうかな?」

「そうよ。だって私これまでいろんな人に英語の仮定法はなんの役に立つのって質問したけれど、誰もそんな風にきちんと説明してくれなかったわ。英語の先生でさえよ。みんな私がそういう質問すると混乱するか、起こるか、馬鹿にするか、そのどれかだったわ。(略)」 [P.55]