発売日: 2014年03月
著者/編集: 松井今朝子
出版社: NHK出版
サイズ: 単行本
ページ数: 282p
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
祇園の料亭に育ち、歌舞伎の世界に飛び込んだ著者は、稀代の演出家にして昭和の怪人、武智鉄二に出会った。この反骨の師が全身全霊で教えてくれた、人生の闘い方とはー。直木賞作家が波乱万丈の半生を綴る自伝文学の傑作!
【抜粋メモ】
第二次世界大戦後に急速な近代化を遂げた世界では、その反動として前近代文化への見直しが起こり、日本では海外発のジャパネスクにも似たかたちで江戸ブームが到来した。前近代の日本社会を体感していた世代にはなかった日本の伝統文化に対する「憧れ」が、体感していない世代から生まれたといってもいいだろう。
戦後生まれの私は日本の伝統文化に対する「憧れ」なぞなく、ただ前近代的な「家」に生まれたので、幼い頃から身近に接していたに過ぎない。しかし、だからこそまた、それらの文化がいかに魅力的でも、それらを生んだ前近代の日本社会ははっきりと決別して、離脱すべき対象であることを、自身の体験を通じて実感する者なのだともいえる。
(略)
安易に昔を憧れて過去に回帰する誘惑に対して釘を刺す意味でも、私にはこれを自身の生い立ちから書き下ろす使命があるように思えたのだった。
[P.11]









