【あらすじ】
「それはどこにでもある、ありふれた酸素のようなものだ。もしも、それを踏みにじることを恐れなければ、君もまた世界の支配者になれる」ひとけのない公園で、奇妙な男オキシジェンが少年に語るとき、その裏に隠されているのはなんでしょうか? 宝物の金貨のありか? 未来への鍵? それともなにもかもを台無しにしてしまう禁断の、邪悪な扉でしょうか? ちょっと寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が巡り会い“ゴーシュ”の秘宝を探し求めて不思議な冒険をする、これは鏡に映った姿のように、あるけれどもなくて、ないけれどもある、どうでもいいけど大切ななにかについての物語。

【感想】
表向きの話は、小学生達が巻き込まれた、寺月恭一郎の遺産をめぐる冒険は、終わりゆくオキシジェンが後継者・末真さんに活動資金を遺すためのシナリオだった、というもの。
裏は…禅問答みたいだ…。要約すると、酸素とは毒でもあるが、なくてはならないもの。人間にとっての他人も、また、同じ働きをするものである。しかし人間はまた、その他人を"酸素を吸うくらいに自然に"信じる生き物。だが、流動的な世の中で、人が生きていくうえでの宝は他人達が価値があると保証するものではなく、自分自身で見つけなければならないもの…みたいな感じ?何故、こうも陳腐に聞こえるんだ?いや…もっと上遠野さんの文章は素晴らしいんだよ~…orz

【抜粋メモ】
「平和な顔してるよ、この猫は。あんたってきっと、優しい飼い主なんじゃないの?」
「猫にとってはきっと、いい飼い主というのはいてもいなくても同じようなもので、自分が困らなければいい…そんなところだろう…その条件は、確かに満たしている。」
「めんどうくさい言い方だなあ。つまり、かわいいってことだろ?」         [P.126]

(や。彼は"オキシジェン"ですから…。でも「君ととりとめのない話をして、なんとなく楽しかった」と言い遺してくれたのは嬉しかった…)