激騰6
西穂高山荘の前にて幕営に成功した我々は特にやる事もないので早々に眠りについた
冬の北アルプス 西穂高山荘前のテント内から再開です
シュラフに潜り込んでから一度二度は山荘のトイレを借りる為に起き上がったが、それ以降は、しばし意識が遠のいていた
明らかに雪の降る量が増してきている。
そう感じたのは深夜の2時を過ぎた頃だったろうか
Nがおもむろに起きあがりテントのファスナーを開けて外に出ていった
降りすぎた雪で自分の寝ているスペースが狭くなってきたので雪かきに行ったのだ
僕は寒いのが嫌いなので少々狭くなろうが我慢するつもりでいた
Nが帰ってきた
N「あかん!めちゃくちゃ雪降っとる」
知っている、、、というより分かっている
最早雪はテントの側面だけではなく屋根の部分にまで積もり始めていたからだ
明日の独標は無理かもしれない
そう考えながら寒さの為に何度も目が覚める度に考えていたら朝がきた
テントの外を覗く
相変わらず天候は悪い
今回、激騰西穂高登山記などと大袈裟なタイトルをうっているが、本心を言うと
西穂高岳でテントを張って一晩過ごせればこの旅は成功だと話しながら計画を練っていたのである
山では無茶はしない!これがおっちょこちょいの2人組の固いルールである
天候が良ければ独標からの展望も拝めたのかもしれないが、こう分厚い雲が横たわっていては、晴れる見込みは薄いだろう
そこまで無理をしなくても、いつだってロープウェイを使えばここまで一時間で来れる
それを考えると今回は大人しく下山しよう
そしてポカポカの露天風呂に、、、
そうなのだ!
そうなのである!!!
我々のベクトルはこの時すでに下山した後の宿に定まっていたのである
そうと決まればさっさと片付けて帰りますか
というわけで下山の準備を始めることに
先ずはテントの中を整理してテントをたたむ
次にテントの外に出してあったシャベルやらピッケルやらストックやらアイゼンを、、、
アイゼンを、、、
ん?
アイゼンが見当たらない(´・_・`)
確かピッケルの横に置いた筈なのだが
もしかして、、、
一晩の間に僕たちのテントの直ぐ側は50はセンチ以上の雪が積もっていた
雪に突き刺してあったピッケルやらストックは数センチ頭を覗かせているだ
けでスッポリと埋まっていたのである
当然その横においたアイゼンは陰も形もない
これはまずい!
僕「ごめん、、、N アイゼンが見つからん!一緒に探してくれ!」
というわけで朝っぱらから北アルプスの深い雪を一心不乱に掘り返す男二人
こんなに掘っても出てこないものだろうか
僕の大切な相棒は重い雪の下で掘り出してくれるのを今か今かと待っているに違いない
第一見つからなかったら大変である
もしこのまま春が来て雪が溶けてきた頃に運悪くアイゼンの上を人が歩行したり転んだりしたら
そう考えると雪を掘り返す手を緩めることは出来なかった
1メートル近く辺りを掘り返したが相棒は出てこない
もう一度冷静に考えよう
本当にテントの外にアイゼンを放置しただろうか
ザックの中はさっきシュラフをしまう時に確認した
しかし!もう一度だけ確認してみよう
そう思って嵩張るシュラフの底に手を突っ込んだ
あれ?
指先に覚えのある感触があった
間違いない!相棒のアイゼンであるw
僕「ごめん、、N有ったわ」
何の勘違いか、やはりアイゼンを雪の上に放置するのは危険と判断した自分の行動が記憶からとんでいたようだ
何はともあれ、無事にアイゼンを見つける事ができた、、、
が、掘り返した雪を元に戻さなければいけない、このままでは落とし穴である
春を待たずして怪我人を出してしまいかねない
僕とNはさっきとは真逆に雪を元に戻した
朝一から大変な労力を使わせてしまったお詫びにNに朝食を御馳走する事にした
本当にこれだけで良いのか?
Nは美味そうに食べていた
このご飯、葉辛子の佃煮みたいなのが乗ってるんですが、絶品でした
お勧めです( ´ ▽ ` )ノ
小屋で少し暖をとって復活した僕達は温泉目指してまっしぐらに山を降りるのであった
つづく、、、

