映画「星守る犬」
星の見える夜のシーン。
家の縁側で黒い犬が座り、星空を見上げている。
その犬の後ろ姿を祖父が椅子に座って見ている。その隣のやや後ろには主人公・京介が後ろに手を付いて座って、やはり犬を見ている。
「星守る犬、だな。」祖父が星空に目線を移して言った。
「決して手に入らない星をずーっと眺め続ける犬のことだ。」
祖父は顔をちらと京介の方に向け、また星空へと戻しながら続けた。
「これ、高望みをする人を表す例えに、使う言葉らしいよ。」
京介は犬から目を離さずに応えた。
「手に入らないものなんて、眺めてるだけ無駄だよ。」
「京介、あのね…」祖父はまた、顔を京介の方に向けながら応えた。
「生きるってことは所詮、無駄だらけなんだ。」
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高望みをすること、夢を見ること、それこそが人生の意味ではないのかと。
そうだねー。
そうだよねー… (次に続く)