僕が治療に通っている病院はがん専門病院である。
ここは敷地内にがん治療の研究所を構え、入院治療だけでなく、通院治療、緩和ケア、生活支援の相談窓口なども備えていて、地域におけるがん治療の包括的な拠点施設としての機能を持っている。
その活動の一環として、がん患者の就労支援も行われており、昨日はその相談日であった。
がん患者が入院治療に一通りの目処を付け、次のステップとして就労を望むとき、厳しい現実に直面することになる。
治療開始時に勤務していた職場に籍が残っているならば、元の部署に戻ればいいのか。
大抵の場合、そんな簡単に事は運ばない。
入院で部署を不在にしていた期間は、他の誰かが代わりに穴埋めをしていたはず。
部署では人員配置の見直しが求められるが、職場におけるがんに対する理解の程度で、扱いは大きく違ってくる。
ましてや、転職・就職ともなるとハードルがもっと高くなる。
▪︎いつ迄働けるのか……余命何年とか?え、2年なの?生存期間中央値って何だそれ?
▪︎どれだけ体力があるのか……入院生活で弱ってるんでしょ?抗がん剤の副作用はどうなの?アンタだけ残業ナシってワケにはいかないよ?
▪︎今後の治療計画……体調不良とか通院とかで好き勝手に休まれたんじゃシフト組めないよ?転移とかでまた入院するなんて勘弁してよ?
抗がん治療を続けながらの就労に理解のある職場は、なかなか無いとのことであった。