いつも私の事に何かと口を挟む幼馴染の達也に会いたくかったので勝手口からバス停のある本通りに足早に向かった。
今日の目的地はバスで15分の駅前にある美容室( Remember )、店の前まで来て期待と不安が入り混じる。
勇気を振り絞ってドアに手を掛けた。
「カラン・コロン」 ドアのベルが静かに鳴り
「いらっしゃいませ」と女性の美容師さんの声が優しく聞こえてきた。
ここ(Remember)は完全予約制、一人の美容師がすべて行う小さな美容室、今回私は親友の優香にこの店を紹介してもらっていた。
「予約していた結城です」
「こんにちは結城様、優香ちゃんの紹介ですね私美容師の木村洋子と言います」
お互い軽い挨拶の後は丁寧に名詞を頂き、荷物を預けアンケートを記入を勧められた。
記入してから5分ぐらいソファーでお茶を飲んで休んでいる間に、洋子は道具の準備を整え咲のアンケートに目を通した。
「結城様どうぞこちらに」
「はい」とイスに座り鏡越しに洋子と目が合ってしまい(ちょっと赤面)
「どうしたの室温高かったかしら」
「ちょっと緊張して」
「お互い初対面だから、気持ちを落ち着ける為に私は咲ちゃんと呼んでイイかな?」
「ハイ、私も洋子さんと呼ばせてもらいます」
お互い笑顔になり場も和み洋子のカウンセリングが始まった。
「今日はカットそれともパーマ?どのようなスタイルがご希望ですか?」
「この春から社会人になるし、私今までストレートのロングで来たからどんな髪形が似合うか、美容師の方と相談して決めたいんです」
「じゃまず全体の長さから決めましょうか、社会人1年生ならあまり派手にせずロングを肩下までカットしてパーマをゆるくかけゆるふわお姉さん系でどうかしら?せっかく綺麗な黒髪なので今回はカラーは無しで新人OL風がおススメだけど」
咲は洋子に薦められ髪型に似た写真を見ながらしばらく考えた後
「洋子さんこ写真の髪型もいいのですが私って短いのは似合いませんか?」
それを聞いて洋子は髪を持ち上げたりして、咲の顔の輪郭もシャープで小顔だからセミロングでもショートでもいけると答え、似合いそうな髪型の写真を探した。
それを見て咲は
「洋子さん色々な髪型を提案して貰ったんですが実は私今日は決めている髪形があるんです、なかなか言い出せなくて」
咲の真剣な表情を見て
「分かったわ聞きましょうか」
少し間が空き意を決して
「私ベリーショートにしたいんです!」
「うそ!!そうなのだって咲ちゃんこんな綺麗な髪をセミロングやショートにするだけでも・・・・ 〇△✕・・・イヤイヤ美容師の私が口を挟むことじゃないわね」
咲の希望が、まさか洋子も思いつかなかった髪形だったので、普段物静かにしゃべる洋子にしては似つかわしくない声を出してしまった。
「咲ちゃん本当にいいの?確かにベリーショートも似合うかもしれないけど後で後悔とかしない」
洋子の心配そうな表情を見て咲は
「実は私気になる男の子がいるんです、春からお互いに別々の進路に進むので、それまでに私を意識して貰いたいと思うようになったんです。何からはじめればいいか考えて、それなら私の自慢の髪をバッサリ切るのがいいかなと思って、洋子さんはどう思います?」
洋子はしばらく考え
「任せてベリーショートで行きましょう、そこまで決心してるなら大丈夫、社会人としても似合うちょっと大人で、その男の子に咲ちゃんを意識して貰えるような髪型にしましょう」
「ハイ、洋子さんおねがいします」
