昨日とは違う夕暮れまだ想い出だった頃ポケットの中に、一粒の宝石が入っていると信じていた。夕暮れの空の下、手を振って「またね!」と声を交わしたあの日も小さな光のかがやきを、くりかえし何度もたしかめた。時を感じなくなった頃ポケットはいろんなモノでふくらんだように見えた。暮れゆく街の雑踏で「じゃあ、また」と挨拶を交わした昨日、実はその中が、からっぽだったことに気づいた。永らく、その空の美しさに目を向けなかった間に。