桐内製薬降圧剤に関する副作用報告書が出された。

高血圧の老人・桜田善二郎がかかりつけ医から当社の降圧剤投薬後に脳内出血で緊急搬送され意識混濁のまま一月後に心不全で死亡。

副作用情報室に勤務する顧問医師の古関志保梨は調査に乗り出す。

古関は報告の元である担当医の風間医師、投薬した開業医の朝霧医師への聴き取りから副作用の疑いを払拭する。

しかし、続いていた高血圧に直前まで薬が投与されていない事や安定していた患者が突然心不全を起こしたことなどに不信を抱き、同窓生の佳川警部に相談する。

数百億の遺産を継ぐことになる嫁の美鈴、20年余り前の美鈴の両親の心中事件、善二郎の妻の病死、息子恒久の事故死、様々な疑惑があふれ出した。

そして、美鈴が消え、朝霧医師が医院を閉じ、風間医師も突如退職していなくなった。

恐ろしき復讐の完全犯罪。

小説 透白の殺意 霧村悠康