密命シリーズ23。

将軍・吉宗より早く江戸へ戻るよう文が届いた。

八戸から仙台に戻った清之助、まずは回国修行の終わりを告げるべく鹿島へ向かう。

米津寛兵衛の菩提を弔い、鹿島道場仲間と再会する。

しかし主不在の道場はかつての緊迫感を失っていた。

清之助はしばし鹿島に逗留し道場の立て直しを図ることにする。

鹿島新陰流の祖・松本備前守政信の亡霊を相手に一人稽古する傍ら、師範の梶山隆次郎ほか同門仲間と特訓を始める。

江戸では周平とみわの婚儀が整った。

札差屋・冠阿弥の建てた新長屋で若手差配夫婦として新婚生活を始める。

惣三郎と桂次郎は修行の仕上げに何と尾張柳生新陰流道場の門を叩く。

宿敵惣三郎の登場に殺気立つ尾張柳生の面々。

客分扱いで受け入れられるも二人には怨嗟の籠った稽古が待っていた。

しかも桂次郎には今のままでは上覧剣術大試合に出られる道はない。

出場に向けた惣三郎の秘策や如何に。

尾張柳生新陰流からは二名の選出が認められている。

木曽川の中洲にある通称地獄島では柳生駿河守秀直、東條龍祁、久栄道三郎の三名へ代表選抜最後の試練が繰り広げられていた。

小説 仇敵― 密命・決戦前夜〈巻之二十三〉 佐伯泰英