ナベちゃんこと、渡辺佳哉が結婚を決めたお相手は、学生時代の同期で、担当教授に対するストーカー行為で大学を退学処分となった風花さんでした。コーラス部の仲間たちは、そろって首をかしげますが、そんなナベちゃんに対して、私こと佐和は言います。「幸せなんじゃない?ナベちゃん」。「婚約者の風花さんに必要とされて、ナベちゃんも相手を必要として、そういう人に巡り合えたんだよ」。学生時代、私こと佐和も含めて、ナベちゃんを便利に使ってきたけれど、ナベちゃんのことを自分の一番に考えることはありませんでした。それに対してナベちゃんは、ずっと誰かの一番になりたかったんです。必要とされたかったんです。私たちは誰もナベちゃんを一番にしなかったけど、婚約者の風花さんにとってはナベちゃんが今、誰よりも大事なんでしょ?私たちの言葉じゃ、そりゃ届かないよ。互いに相手を必要としている二人だからこそ、周りが何を言っても響かないのであって、そんな二人に通じあう何かがあるのだろうなあと思いました。