二十歳の頃の森下さんの不躾な問いに対して先生は「何でも頭で考えるから、そういう風に思うんだね」と彼方を眺め微笑んでいらっしゃいました。あの日から40年が過ぎて、今、その場面が映画になろうとしている。そして40年が過ぎた今、森下さんは、当時はわからなかったあの日の先生の気持ちが手に取るようにわかると言います。それがわかるほどに、森下さんも年を重ねてきたのだと振り返ります。理屈ではなく、言って聞かせても分からないことがある。年月をかけることでしか、届かない場所があると言うのです。その言葉に深く共感しました。