朝のまだ寒い時間に
上が冬服セーラー
下は半ジャージという出で立ちで
バスに乗ってきたミキちゃんです
「おはよ…なんか老犬さんと○○さんの顔見たらお腹痛い」
「なんじゃソリャ、オレと○○さんにはギョウチュウ覚醒させるオーラあるんかな」
「そうかな…ってかギョウチュウ湧いてないから!」
「なにを根拠にしとんねん」
と言ってるウチに次のバス停から
オバァちゃん参加です
「あら、可愛い服よね」
「あ、はい、ありがとうございます」
「服を褒められてんやで、ミキの事ちゃうで」
「うるさい!黙れ!」
「私にもそんな時代があってねぇ」
「何年も前やろね」
「大戦の頃よ、知ってる?」
「はい…いえ、あんまり…」(←声が小さい)
「20年よ、ラジオで天皇の放送が流れるんやけど、ウチにはラジオが無くてねぇ」
「あ、そうなんですかぁ」
「ねーさん、この子ら平成生まれやのに20年とか言うても分からんよ」
「それで近くのお家のラジオで聴いてねぇ」
「聞こえてないし…」
「そういえば、おっちゃんの頃は大戦まで習ったけど、今はどこまで習うん?」
「え?なんの話?」
「日本史や」
「にほんし?…あぁ今は公民やで」
「天皇が象徴って習ったよ」
「おぉ!シッカリ勉強しとるな」
「象徴ってなんか分からんけど給料2億とか」
「いや、給料じゃなくて国が使ってるお金ちゃうの?」
「慈善とか仕事やろ?」
「んーちょっと違うと思う」
「いろんなトコ行って、お土産とか買うんかな?」
「買わんやろ…いや、買うんかな?やっぱ貰っても買わんやろ」
「どっちやねん!」
「知らんがな…」
「買わないやろねぇ…」
「聞こえてたんかいな…」
と言ってるウチに
学校近くのバス停に到着です
「ミキ今日は変なカッコしてんねん」
「知ってんで」
「知ってた?なんで黙ってたん」
「いや、触れたらアカンかなって思た」
と、その間に
オバァちゃん降車です
「あ、オバァちゃん花忘れてる」
「届けたれよ」
「うん、ミキ置いて行かんとってよ」
「なんでやねん、ミキも降りれ!」
「分かってるわ!冗談やん」
「スミマセン、オバァさん、忘れてますよ」
「スミマセーン、オバァさーん」(←オバァちゃん、耳が遠い)
遠ざかる声と共に
彼女とオバァさんは消えて行きました