API規格には、SAからSNまで12段階の規格表示があります。
SA
条件:添加油が不要な軽度の運転条件のエンジンに使用。現在の自動車エンジンには不適。
特徴:「ベースオイル」と呼ばれ、添加物が含まれていない。
SB
特徴:最低レベルの添加物を使用。かじりの防止性、腐食防止性、酸化安定性などを備えている。
SC
条件:1964年~1967年型の乗用車およびトラックに使用。
特徴:デポジット防止性、摩耗防止性、サビ止め性、腐食防止性を備えている。
SD
条件:1968年~1971年型のブローバイガス還元装置を取り付けた乗用車およびトラックに使用。
特徴:全体的にSCより高性能になっている。
SE
条件:1972年~1979年型の乗用車およびトラックに使用。
特徴:SDより酸化、サビ、腐食などの防止性が高性能になっている。
SF
条件:1980年型以降の乗用車およびトラックに使用。
特徴:酸化安定性やバルブ機構の摩耗防止性が向上している。
SG
条件:1989年型以降に作られたガソリン車に対応。
特徴:エンジンの長寿命化などSF以上の性能を持っており、耐スラッジ性が向上。
SH
条件:1993年型以降に製造されたガソリン車に対応。
特徴:低オイル消費、省燃焼性、低温始動性などが向上している。
SJ
条件:1996年型以降のガソリン車に対応。
特徴:せん断安定性がSHより向上している。
SL
条件:2001年型以降のガソリンエンジンに対応。
特徴:オイルの耐久性、酸化安定性が向上。省燃費性が高まりCO2の削減など環境保護にも対応している。
SM
条件:2004年に制定された規格。
特徴:SL規格より省燃費性が向上、有害排気ガスが低減している。浄化性や耐熱性、耐摩耗性にも優れる。
SN
条件:2010年に制定された規格。
特徴:SM規格より省燃費性能が持続し、触媒保護性能が強化。低温流動性が向上し酸化にも強い。
API規格のディーゼルエンジンオイル
API規格の表示は6種類あり、以下のような特徴があります。
CA
条件:使用負荷が軽度のディーゼルエンジン、およびガソリンエンジンに使用可。
特徴:軸受腐食防止性と高温デポジット防止性がある。
CB
条件:軽度から中度のディーゼルエンジンオイルに使用。
特徴:耐摩耗性とデポジット防止性に優れる。
CC
条件:高負荷運転の過給機付きディーゼルエンジン、および高負荷ガソリンエンジンに使用可。
特徴:高温デポジット防止性、さび止め性、腐食防止性などを持っている。
CD
条件:高速高出力で運転されるディーゼルエンジンに使用。
特徴:高い耐摩耗性とデポジット防止性を持ち、軸受腐食防止性にも優れている。
CF
条件:建設用機械や農業用機械などの高速回転を必要としないディーゼルエンジンに使用。
特徴:CD規格に代わるものとして各種性能が向上している。
CF-4
条件:大型トラックなどの過酷な条件で運転されるディーゼルエンジンに使用。
特徴:CE規格よりもスラッジ分散性などが向上している。
ILSAC規格のガソリンエンジンオイル
ILSAC規格の表示と特徴は以下のとおりです。
GF-1
条件:API規格のSHと同じ性能。
特徴:スラッジ防止性などが向上している。
GF-2
条件:API規格のSJと同じ性能。
特徴:GF-1よりせん断安定性が高い。
GF-3
条件:API規格のSLと同じ性能。
特徴:省燃費性の向上や排ガス浄化性能などがGF-2を上回る。
GF-4
条件:API規格のSMと同じ性能。
特徴:GF-3と比べて耐熱性・耐摩耗性などに優れる。
GF-5
条件:API規格のSNと同じ性能。
特徴:省燃費性能の持続性などがGF-4より強化された。
JASO規格のディーゼルエンジンオイル
JASO規格の表示と特徴は以下のとおりです。
DL-1
条件:乗用車のクリーンディーゼルエンジンなどに対応。
特徴:動弁系部品の摩耗防止、オイル中のスス増加に対応する清浄性の確保、高温下で使用される場合の酸化安定性が向上している。
DH-2
条件:大型トラックやバスなどのディーゼルエンジンに使用。
特徴:DPF(ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質を軽減させるフィルター)の目詰まりを低減している。
エンジンオイルのグレード規格を知るうえで押さえておきたいポイント
先述のグレード規格の特徴からわかるように、エンジンオイルはベースオイルに添加剤を配合することで機能を向上させています。ベースオイルや添加剤の種類はさまざまでそれぞれ特徴も異なるので、どういったものがあるか、それぞれ確認しましょう。
ベースオイルの種類
ベースオイルとは、エンジンオイルの原料になるオイルのことです。製造方法によって4つの種類に分けられます。
化学合成油
化学合成油は、精製する過程でできる限り不純物を取り除いた高純度のベースオイルです。不純物を含まないので潤滑性能が高くなっています。レースに参加する車に使用されることが多いですが、車好きで「できる限り良いオイルを使いたい」という方からも人気です。
部分合成油
部分合成油は、化学合成油と鉱物油を混ぜ合わせたベースオイルです。化学合成油で鉱物油の弱点を補うように作られています。毎日車に乗る方や高速道路をよく使う場合に適したオイルです。
HVI
HVIは、次に紹介する鉱物油をさらに精製して不純物を取り除いたベースオイルです。
鉱物油
鉱物油は、原油を蒸留して不要な成分や有害成分を取り除かれているベースオイルです。
現在、ベースオイルのなかでは一般的に普及しているもので、街乗りなど日常に車を使用する場合は鉱物油で問題ありません。