三年生になってから
初めてバスで会ったミキちゃんです
乗って来るなり
「おー、老犬さん」
「久しいのぉ」
と、挨拶したら
しばらく他の利用者さんと
丁寧に話をしてます
ミキもちゃんと話できるんなら
オレにも丁寧に話せよ(←めっちゃ小声)
「老犬さんかて他の人みたいに、ミキに言えんの?!」
「聞こえたんかい!」
「だいたい久しぶりに会ったのに言う事ないん?」
「久しいって言うたがな」
「他にないんですか?って言うてんねん」
「他の運転手さんに成長したって聞いてるよ」
「え?そぉ?」
「横に…」
「誰言うとんねんソレ!○○やろ」
「呼び捨てすんな」
「あのヤロー…」
その時たまたま降車するオジィさん
「慌てんでいいからゆっくり降りてよ」
と振り返ってみたら
耳に手を当て聞いてた彼女
「ほらぁ!ミキそんなん言うてもろた事ない!」
「なんやねん、ミキはちゃっちゃ降りろ」
「だいたいミキにはありがとうも言わんやん」
「ミキは金要らんからやん、他の人はお金もらうから、ありがとうや」
「ひどい!お金あるかないかで差別するなんて最低や」
「人聞きの悪い事言うな」
「ミキら子供も乗るから今日も仕事ができます、ありがとうございますじゃないん?」
「なんか正論ぽくて腹たつわ」
「あー、スッとした」
「オレをストレスのハケグチにすんな」
「もう少し解消、だから歌う!」
♫ちんちんブラブラソーセージ
キン○マブラブラミートボール
ヒジキユラユラあそこのケ〜
「やめんか!」
「ミキあそこのケ生えてないねん」
「ウソつけ!ボーボーや言うてたやないか」
「毛穴だけ」
「その方がキショいわ」
さらに歌う彼女
「ミキ、声低なったんちゃう?高い声も出てないし」
「そやねん、声がわりしてん」
「わはは、その内ヒゲ生えるわ、直径3㎜ぐらいの剛毛」
「太いん?」
「ブッとい毛穴からシャーペンの芯みたいなん出てきたらどーする?」
「ジプロックに入れて、何だコレミステリーに出す」
「恥ずかしないか?」
とか言ったり歌ったりしてるウチに
彼女が降りるバス停です
停まって待ってると
「ミキ終点まで行って戻ってくるから」
「へ?あぁ…はい…」
「うわぁ…老犬さんがはい、って言うた」
「びっくりしたけど嬉しいわぁ…」
「そうなのか?ちょっと不意をつかれたわ」
そう言いながら
折り返し地点でバスを停め
車内の忘れ物確認のために客室へ行くと
「入ってくんなや!変態!」
「何言うとんねん、ミキの部屋ちゃうで」
「じゃあミキも一緒に見る」
「いや、狭いからいい」
「ち、人の親切無駄にすんなや」
「よし、時間やから帰るで」
そして再び彼女のバス停へ
「ちゃんと言うんやで」
「はいよ、お疲れ様」
「ありがとうやろ!ま、いいわ…バイバイ」
そう言って手を振りながら
帰っていった彼女は
その翌日から試験なのに
大丈夫なんでしょうか?