乗って来ていきなり
『運転手 老犬さんで良かったぁ なんかホッとする』
『そう?なんでや?こないだはキモい言うてたのに』
『こないだ100やとしたら 今日は98ぐらいしかキモないから』
『ほぉ…上げといてから落とすワザ覚えたか』
『え?なんて?』
『いや、なんもない』
『でな、ちょっと聞いて欲しいねんけど』
『なんね?お父さんの悪口なら要らんで』
『ちゃうねん、今度 学年代表で夢について発表あるねん、ミキ考えたん聞いてくれる?』
『えぇで』
と、 原稿を読み出した その内容は素晴らしく
泣きそうになるぐらいでした
『いや、ミキ凄いな、めっちゃいいと思う』
『ホンマ?ミキ文章力だけはあるねん』
『いや、ホンマにそれだけはあるみたいやな、見直したわ』
『だけとか 見直したとか なんかムカつくわ』
『でも こういう時って いい事言うやろ?』
『そやなぁ たまにやけどいい事言うてるで』
『いや、だからさぁ…素直に喜べるように言えん?なんかチクっとハラたつわ』
『そうか?怒りっぽいな』
『でな、卒業式の時に歌 歌うんやんか』
『ほぉ…』
『この歌やねんけど』
『割りと古いん歌うんやな』
『そぉ?ちょっと難しくて…こっちの方が歌いやすない?』
『いや、こっちの方が難しいやろ?』
『ミキはこっちがいい』
『人それぞれやなぁ…合唱やろ?』
『そやで、でもアンジェラ・アキになるねん』
『まぁ まだ少し先の話やな』
『なに言うてるん すぐやわ、老犬さんいくつやっけ?』
『61』
『ここまで早かったやろ? え?61』
『そやで』
『そら痴ほうもでるわ…』
『うっさい!』
そう言ってるウチに
バスは バス停に
『友達待ってるかな?』
『あれそうちゃう?』
『あ、おった…老犬さんが男の子と間違えた子』
『もう それは許してくれ、あの子なんて名前なん?』
『ナハ オトコノコちゃん』
『やめろ!』
そう言って 彼女は周りの利用者さんたちに挨拶して 降りて行きました~(*''*)