農家が消えた日 | ゼファオス~アラカンライダー~

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ゼファーな日々とバリオスな日々とたまに仕事の日々

老犬がいる集落は

お年寄りが主体の過疎地です

そのほとんどが漁業関係ですが

もちろん農家の方もいらっしゃてたようです

しかし その数も減り続け
最後の農家は ご夫婦で頑張ってました

なかなか人と付き合うのが上手くなく

亭主関白で 少し近所から浮いた感じでしたが

いわゆる『ヨソモノ』の老犬には

よく笑顔で挨拶を交わしてました

だから老犬からみた そのオジさんは

ヘンクツなオジさんではなく

奥様にエバってる昔ながらのオジさんでした



いつも一緒にいる奥様は
文句も言わず 
朝早くから遅くまで
頑張ってハードな仕事をこなしてました



2年ほど前

少し病気がシンドくて
今年から 米はやめる

と 言い出し

やめた田んぼの草刈りや


牛の世話

畑の世話
それに旦那様の世話など 
奥様一人で切り盛りしてました


やがて旦那様の
薬も強いモノに代えると

旦那様は身体中水疱だらけになったそうです

寝たきりの身体に水疱

それが破れたら さぞ苦痛だった事でしょう


それから一週間

旦那様は 亡くなりました

この集落から農家が無くなった瞬間です



葬儀も終え
奥様が片付けをしていたら

一冊のノートが出てきたそうです

そのノートには
痛みに苦しみながらも
旦那様から 奥様への

感謝の気持ちがビッシリと綴られてたそうです


オッチャン……

男ですね
感動しました


どうか
ゆっくり眠って下さい