昔は たいそうベッピンだった
おばぁちゃんがいます
去年ぐらいはまだ元気で
動き始めるバスにしがみつこうとする
スパイダーマンみたいな おばぁちゃんでした
が
最近は めっきり弱ってきてるようです
16時50分 3分遅れで
あるバス停に🚏🚌 さしかかると
対向側のバス停に キクばぁが立ってます
10人ほど 乗車してましたが
思わず声をかけました
『キクちゃん こんな時間からどこ行くん?』
『スーパー行くんやよ、乗してくれん?』
『スーパー行くんは まだ20分ほど待たなアカンよ 寒いけど待ったって』
『ここで待ってたらえーんかいの』
『そやで チョロチョロ動いたらアカンで』
と 言って 折返し
今度は2人ほど乗車してきて
そのバス停に戻ると キクばぁは
少し離れた場所に腰かけて待ってました
『お待ち遠様』
と ドアを開けるも なかなか乗ってきません
『杖がないんや どこやったんやろ?』
『どこって 座ってた所にないん?』
『杖なかったら歩けんしなぁ』
実際 何かにつかまってないと歩けません
『あ、待ってて下さい』
と 乗車してた 学生男子が降りて
探してくれましたが 見つかりません
『ありませんよ』
『おかしいなぁ どこやったんやろ』
『どこまで覚えてる?』
『家の玄関で鍵閉める時に置いたんは確かやわ』
『そっから どうやって歩いたん?歩けんやろ』
『つたい歩きならできるで』
『つたい歩きした覚えある?』
『わからん でも名前と電話番号書いてるから』
『杖に? 玄関にあったら意味ないしな』
『どうしたらえーかいな?』
『バス停からスーパーまで頑張って歩いて 帰りはタクシー呼んで』
『タクシー高いし……』
『暗い中 なんかあったらそっちのが高いわ』
などとやり取りしたら
また5分遅延しました(T^T)
でも そのまま駅まで乗せてきて
乗ってた常客にお詫びして
探してくれた学生さんにお礼をしたら
見知らぬオジさんが
杖を届けてくれました
『あれ? キクちゃん、杖届けてくれてるで』
『あれよ(←方言)嬉しいよ~ 助かったよ』
オジさんはニッコリ笑ったまま
黙って立ち去りました
『あぁ キクちゃん お礼言うとかんと…誰なん?知ってる人やろ?』
『さぁ わからんよ? 誰かいの』
本当に知らない人なのか
知ってた人で判別できないのかは
定かではありませんが
キクばぁの杖は
手元に戻ってくる魔法の杖みたいです~(*''*)