ヤオヨロズ小(笑)劇場 キビ巫女たちの憂鬱 |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

※作者からのご案内。
・この小劇場は、ノベライゼーション・ヤオヨロズをお読みでない方にはお楽しみ頂けません。
・ヤオヨロズのシリアスな作風を壊されたくない読者の方は、決してお読みにならないようにお願いいたします。




アナト 「ねえねえ、シキちゃん。ここ? この部屋でいいんかな」

シキ 「あ、はい。そこです」

ヨサミ 「ほんとだ。キビ巫女御一行様って書いてある~♪」

ガチャ。

アナト 「お~、なかなか洒落た部屋じゃん」

ナツソ 「おつまみももう用意されてますね」

ヨサミ 「わーい! あたし柿の種ラブラブ

アナト 「がっつくな。お、ソファ、ふかふかじゃん」

イズミ 「皆さん、飲み物決めましょう」

シキ 「あ、ドリンクは飲み放題です。ここにあるのは、なんでもOKですよ」

ヨサミ 「あたし、とりあえずビール」

アナト 「芋ロック」

シキ 「い、芋ロックですかッ?! ∑( ̄0 ̄;」

アナト 「今日はね、なんか、がつんと呑みたい気分なの、がつんと」

ナツソ 「わたしはオレンジ・ジュースで……」

アナト 「ナツソ、あんた、なんでノン・アル?」

ナツソ 「いや、だって、アナト様とヨサミ様は成人ですけど、わたしたちは、ねえ?」

シキ&イズミ 「は、はい」

アナト 「馬鹿たれか。わたしたちの時代に未成年もへったくれもないでしょ」

ヨサミ 「そうよ。法律は時代と地域によって変わるものなのよ! 堅いこと言いっこナシ! 今日はあたしたちキビ巫女たちだけの打ち上げなんだから、パーッと行こうよ、パーッと」

シキ 「わ、わかりました。じゃ、わたしは、ええと、ワインにします」

アナト 「ワイン? シキちゃん、ワの巫女なのにワイン?」

シキ 「大丈夫です。ここにあるのは島根県産です」

アナト 「おー、ごめん」

ナツソ 「じゃ、わたしもそれにします。イズミちゃんは?」

イズミ 「じゃあ、わたしはハイボールにします」

ガチャガチャ。

アナト 「よーし。みんな、用意できた? じゃ、みんな、ヤオヨロズ、お疲れ様でした。かんぱーいビックリマーク

他一同 「かんぱーい!!

アナト 「あ~~~、終わった終わった」

イズミ 「あ、アナト様、立膝やめてください。こっちのアングルからだと丸見えです」

アナト 「お、ごめんごめん。いやー、真面目な巫女やってるとさ、反動っつーか」

ヨサミ 「ほんと、疲れたよね~」

シキ 「10カ月ですからね」

イズミ 「いえ、もっとですよ。ミュージカルの製作開始からだと、2年と8カ月くらいでしょう」

アナト 「うわー、そんなに長いことやってたんだー」

ナツソ 「いろいろありましたねー」

ヨサミ 「カガチにはいじめられるし」

イズミ 「肉体的にもハードでしたよね。豪雪の中、山を歩かされたり」

アナト 「山もいくつも越えたし」

ヨサミ 「そりゃ、作者はいいよねー。『ひと山を越え』とか、一言で済ませちゃって。そのひと山がどれくらいしんどいか、身をもって知れっつーの」

イズミ 「どうせ作者なんか、現地を車で走って、『取材してきました~』て感じですよね。もう少しわたしたちの苦労を克明に描写してほしいですよね」

シキ (そんなシーンを延々と描いたら、読者が退屈しないだろうか……)

アナト 「まあ、でも、誰が大変だったって、ヨサミ、あんたが一番大変だったよね」

ヨサミ 「ほんと。汚れ役を一手に引き受けちゃいましたークラッカー

アナト 「嬉しそうに言うなっ、嬉しそうに」

ヨサミ 「まあ、でも重要な役どころだったから、納得はしてる」

ナツソ 「ミュージカルの時とは、わたしたちも扱い、ずいぶんと違いましたよね」

イズミ 「アナト様」

アナト 「なに、イズミちゃん」

イズミ 「そこ、気になりませんか」

アナト 「どゆこと?」

イズミ 「たしかにミュージカルの時より、わたしたち個人の出番は多くなり、セリフも増え、それぞれの個性も描かれていました。ですが、わたしはこの頃、思うのです」

アナト 「な、なにを?」

イズミ 「わたしは果たして必要なキャラだったのだろうかと」

シーン。

シキ 「そ、そんなことないですよあせる イズミちゃんだって重要な役どころだったじゃないですか」

アナト 「そうそう。人質救出の作戦を立案したし」

シキ&ナツソ 「そうそう」

イズミ 「立案した作戦は企画倒れでした……。霊能力だって、皆さんに比べたらたいしたことないし……」

アナト 「い、いや、そんなことないよ。イズミちゃんは、イスズ様のご遺志を引き継いだじゃん。わたしたちが一つにまとまるためにも重要だったよ」

イズミ 「そうでしょうか。わたしは……グビグビ……わたしでなくてもよかったような気がしてしょーがないんです」

アナト 「あー、そんなに一気飲みしちゃ……。ね、ねえ、みんな」

ナツソ 「そうですよ。それを言ったら、わたしのほうがずっと存在感が……」

イズミ 「ナツソ様は、『心の岩戸を開いて』の曲をお作りになったじゃないですか」

ナツソ 「あ、でも、あれはミュージカルのをそのまんま使いましたから、正確にはヤ○○の○○イ先生がすでに……」

アナト 「わ━━━(゚∀゚)━━━!! そんな企業秘密、口にしちゃダメ!! あれは、ナツソ、あんたが作ったんだからッ!! いいッ?!」

ナツソ 「あ、はい。そうでした。そういうことでした、イズミ様」

イズミ 「ですよね」

アナト 「あー、それ言ったらさ、わたしだって、そんなたいしたことないよ」

イズミ 「いえ、アナト様はわたしたちのまとめ役、リーダーとしての揺るがぬ地位があるじゃないですか。そうでしょう、みんな」

シキ 「そうですね。アナト様はわたしたちみんなが頼りにしてます」

ナツソ 「ヨサミ様もアナト様がいればこそ、戻られたのですから(チラッ)」

ヨサミ 「……ポリポリポリポリ……」

アナト 「ヨサミ! あんた、なに柿の種ばっか食ってんのよ!」

ヨサミ 「いいじゃん、好きなんだから」

アナト 「しかもピーナッツ残して、柿の種ばっか食いやがって」

ヨサミ 「あたし、ピーナッツ食べると吹き出物出るんだもん」

アナト 「柿の種ってのはなあ、こう、柿の種とピーナッツを一緒に喰うからうまいんだよ!」

ヨサミ 「それは亀――ピ――田の柿の種だけでしょ! 柿の種ってのは柿の種だけで独立して存在してるのよ」

アナト 「今のピー、役に立ってないよ! ここのはそのピーのところのなんだから、一緒に食えよ。ピーナッツだけ残っちまうだろ」

シキ 「あ、わたし、ピーナッツ好きですから食べます」

アナト 「あうっ……∑(-x-;)」

ナツソ 「一件落着しましたねー(^-^)」

イズミ 「いや……グビグビ……落着なんかしてません。お代わりください」

シキ 「イズミちゃん、ピッチ早すぎ……」

イズミ 「ああ、もう自分で作ります。炭酸少なめでっと……。そもそも、皆さん、考えてみてくださいよ」

アナト 「そもそもって?」

イズミ 「そりゃ、ミュージカルの時は全体の尺の問題がありましたから、わたしたちはひとまとめ扱いで、5人で一つって感じでした。それはいいんですよ。でも、ミュージカル全体の中に占める割合からすれば、わたしたち5人の働きというのは、すごくすごく重要でした」

ナツソ 「そういえばそうですねー」

アナト 「たしかに全体の割合からすれば、果たした役割は大きかったね」

シキ 「わたしたちが勇気を出し、自分たちにできることをしようとしたことが、ストレートにラストにつながっていました」

イズミ 「でしょう? でも、今回のノベライズ版では、わたしたちは全体での比率を下げてます」

アナト 「うーん。そう言われればそうかなあ」

イズミ 「しょせん、わたしたちなんか〝黄泉返し〟の頭数でしかなかったんですよ!……グビ」

アナト 「いや、まさかそこまでは」

ヨサミ 「そーそー。イズミちゃん、考え過ぎだって」

イズミ 「ヨサミ様はいいですよ。出番がたくさんあったし、この上なく重要な役割じゃないですか」

ヨサミ 「えー、そんなたくさんだったかなー」

イズミ 「ヤオヨロズは8章がそれぞれ5節から成り立っていて、これにプロローグとエピローグを加え、42の構成を持っています。ヨサミ様はこのうち控えめに言って15の場面で重要な役割を演じています。これは場数で言えば、全ストーリーの中の28パーセントです!!

シキ (イズミちゃん、カウントしたんだ……^^;)

アナト 「そう言われれば、たしかに。ヨサミは今回、一人だけ目立ってたよね」

ヨサミ 「あー、アナト、もしかして嫉妬してる?」

アナト 「いや、そういうわけじゃないけど」

ヨサミ 「……(ー_ー )」

アナト 「むかっ

ヨサミ 「そういうけど、あたし、汚れ役だよ。カガチにだっていたぶられるし」

アナト 「ヨゴレだろうとケガレだろうと、闇落ちキャラってのは目立つんだよ。だいたい、あんた、いたぶられるっつって、自分から身を投げ出したんだろーがっビックリマーク

ヨサミ 「まあ、そうだけどね~」

アナト 「そもそもなあ、あんたとクシナーダだけなんだからね」

ヨサミ 「なにが?」

アナト 「その……異性関係っつーか、あったの」

ヨサミ 「いや、ああいうの、異性関係って言わないでしょ。そりゃ、クシナーダはずばりだけどさ」

ナツソ 「そう言われれば、ちょっと羨ましいですね」

シキ 「最後はそれなりにいい感じでしたしね」

イズミ 「なんであろうと、それだけ見せ場があったんですよ、ヨサミ様は」

ヨサミ 「いや、そう言われても……。あ、アナトだっているじゃん」

アナト 「なにが?」

ヨサミ 「カーラがいるじゃん。絶対服従のなかなかの切れ者が」

シキ 「え、そういうご関係だったんですか?」

アナト 「ば、ばば馬鹿なこと言わないでよ! キャーラ……カーラとわたしがどうかなるわけないでしょ」

ヨサミ 「あやしい。噛み方半端ない」

ナツソ 「アナト様、お顔が赤いです」

アナト 「だから、違うって! カーラのやつがわたしに忠実なのは、みんなもわかってるでしょ! あいつは……本当はイスズ様にだけ忠実なのよ。その命令だから、わたしに従ってるだけ。そう考えると、寂しいものあるでしょ」

シキ 「そうだとしたら、悲しいですよね。アナト様のお気持ちからしたら」

アナト 「そうなのよ。――て、おいっ! いつの間にあたしがあいつに想いを寄せてる的な図が出来上がってるんだ」

ヨサミ 「でもさ、アナト。そこんところ、確認しといたほうがいいんじゃない」

アナト 「なにを」

ヨサミ 「いや、本当にカーラがイスズ様にいまだにとらわれているからアナトに従っているのか、それとも違うのか」

アナト 「そんなこと、確認する意味ないでしょ」

イズミ 「いや、それ重要です」

アナト 「イズミちゃん、目、座ってきてるよ」

イズミ 「そこんところは重要でしょう。もし彼がアナト様一途に忠誠を尽くす気持ちになっているんだったら、アナト様だって嬉しいでしょう」

アナト 「ま、まあ、そりゃあね」

ナツソ 「わたしの見るところ、カーラがアナト様を見つめる眼に強い愛を感じます」

アナト 「え? ナツソちゃん、ほんとう?」

ナツソ 「きっとイスズ様は手の届かないはるか高きお山だったのですが、アナト様は登山しやすいお山なのでしょう」

アナト 「ナツソ、あんた、おっとりとした口調ですごいあたしのプライドを踏みにじること言ってる自覚ある?」

シキ 「い、いや、ナツソ様はそれだけアナト様がみんなが親しみやすい方だと言われているのです。そうですよね、ナツソ様」

ナツソ 「心の岩戸開いて~♪」

アナト 「なに歌ってんだむかっビックリマーク

ヨサミ 「まあまあ。あたしの見るところでも、カーラはアナトに気があるね。最後のときだって、あいつはあんたを助けるために機転を利かせて、里人を連れてきたんだよ」

アナト 「そ……そうかなあ」

イズミ 「だから! だからですよ! アナト様にはオトコがいるんです。それなのに、わたしには役割的にもオトコ的にも、とくに見栄えのする情報がないんですよ!」

アナト 「またそこへ戻るかあ」

シキ 「いやでも、そんなこと言ったら、わたしだって特に何もないですよ」

イズミ 「何を言うんです! シキ様はわたしたちの中でも随一の霊能力をお持ちじゃないですか。イスズ様が亡くなられるシーンでも、一人だけ幽体離脱して」

アナト 「あ、それ、あたしも気になってた。そもそもなんで、シキだけが幽体離脱できる設定になってるの? あたしだって、その気になりゃ、幽体の一つや二つ、離脱してやらあ」

シキ (幽体はだいたい個人に一つですけど……汗

イズミ 「そうです。それにシキ様は最後にフツノミタマの剣を浄化して、カガチをオーラで吹っ飛ばすカッコいい見せ場があるじゃないですか! なんで、そんなことになってるんですか」

ナツソ 「そういえば、フツノミタマの剣もシキ様のところへ授けられますしねえ」

ヨサミ 「シキってさあ、もしかして作者に賄賂とか贈ってない?」

シキ 「な! 何を言うんですか! わ、わたしはそんなッ」

謎の女 「はっはっはビックリマーク

アナト 「誰!?(振り返る)」

謎の女 「あんたら、かわいいねえ」

ナツソ 「そ、その豊満な胸元はビックリマーク

アナト 「その上から目線のお言葉はビックリマーク

一同 「ウズメ様!!

ウズメ 「あんたらもう~、ほんま、かわいいわあ。あ、あたしにも、なんかちょうだい」

シキ 「は、はい。なにがよろしいでしょうか」

ウズメ 「その白ワイン、甘口?」

シキ 「はい、甘口です」

ウズメ 「じゃ、それ」

ナツソ 「ウズメ様、どうぞ、こちらの席へ」

ウズメ 「グビッ……うん、甘~いラブラブ

アナト 「ウズメ様、そのリアクションはミュージカルを観た人でないとわかりません」

ウズメ 「しょーがないでしょ。ノベライズであんまり描かれていないんだから」

一同 「あ……」

ウズメ 「そビックリマーク そういうこと。あんたらさあ、ミュージカルの時とノベライズと扱いがどーのこーの言ってるけど、誰か忘れてりゃしませんか」

アナト 「そう言われれば……」

ウズメ 「そうよ! あたしなのよ! あたしぐらい、扱いが軽くなったキャラ、いないんんだからね!」

シキ 「た、たしかに……汗

イズミ 「ウズメ様はミュージカルではクシナーダの姉で、ワの巫女の中でも最高位でした」

ナツソ 「セリフも多かったし、黄泉返しでも中心的なお立場でした」

アナト 「なんで、こんなことになっちゃったんですか」

ウズメ 「知りたい? 教えたげようか。あ、ポテチ、取って。…ああ、ありがとう。なんだ、これ堅あげじゃないのか~カリッ」

一同 「…………汗

ウズメ 「あのね、もともとミュージカルの構想段階から、ウズメってのはああいう巫女全体の精霊的存在だったのよ、作者の中では。でも、ミュージカルでは尺の問題があって、どうしてもクシナーダの姉の役でないと入れられなかった。ノベライズでは、その初期設定に戻されたわけ」

アナト 「でも、すごく登場回数少ないですよね」

ウズメ 「たぶんこの現実の世界は、生きている自分たちがやっていかないといけない世界だからだろう、と作者は言っている。神々に指導されて、ヘイヘイとそれに従っていくのが人間ではない。結果的にそれが天の御心にかなうのならそれでいいが、人の自由意志を捻じ曲げての天の意志というのは……とか」

シキ 「深いお話です。そういえば、スサノヲもサルタヒコに答えを求め、そして自分で『守ることに決めた!』という描写がありますよね」

ウズメ 「そうそう。この世は自分の意志が重要なんだよね」

ヨサミ 「はいはい。じゃ、質問」

ウズメ 「なあに、出番の多かったヨサミちゃん(^▽^メ)」

シキ (……ウズメ様、笑顔、怖い……)

ヨサミ 「あたしはなんで、こういう役回りだったんですか」

ウズメ 「あんたの名前は、もともと現在の籠(この)神社の古名=ヨサノミヤから取られてるの。作者の頭の中では、あんたは最終的にはタジマや丹後に行くべき人間だったのよ」

ヨサミ 「へ~、そうだったんだ~。それでカガチとの接点ができたんですね」

ウズメ 「そういうこと」

シキ 「あの、それでは、わたしはなぜフツノミタマの剣を授けられることになったんでしょうか」

ウズメ 「シキちゃん、日本書紀読んでごらん」

シキ 「日本書紀ですか」

ウズメ 「スサノヲがオロチを切った剣は吉備の神部(かむとものお)にあると記されている。それは石上布都魂(いそのかみふつのみたま)神社。つまり、あんたが治めていたイソカミの国のことなの。それがやがてヤマトの石上神宮に移されるの」

シキ 「あ、するとわたしが剣を授けられたのは、キビにその剣が祀られていたということを説明するための……」

ウズメ 「そーそー」

アナト 「じゃあ、シキちゃんの強い霊力とか、フツノミタマの剣の浄化とかの設定は、それを無理なく説明するための……?」

ウズメ 「そーそー」

ヨサミ 「なんだー。賄賂じゃなかったのか」

シキ 「……(-""-;)……」

イズミ 「え、ちょっと待ってください。今にわかに疑問が湧いたのですが、いいですか」

ウズメ 「なあに、すでに出来上がりつつあるイズミちゃん」

イズミ 「シキ様が預かった剣がもう一度、大きな働きをすることがあるとか、クシナーダ様が言っていましたね。それはいつのことなんですか」

ウズメ 「イワレヒコがヤマト入りする時だね」

イズミ 「イワレヒコ? イワレヒコって誰です?」

ウズメ 「その後に神武天皇って呼ばれる人」

一同 「おお~~~(ノ゚ο゚)ノ」

アナト 「そういえば、神武天皇って日向(現在の宮崎県)から出発して、ヤマトを目指すんでしたよね」

アナト 「そうそう。たぶん作者の頭の中では、ニギヒが南のクナ国へ入り婿のような形で入り、その子孫が神武――イワレヒコ――なんだと思う」

シキ 「その中間点に邪馬台国の卑弥呼があるということですね」

ウズメ 「歴史的にそうだろうね。ま、いろいろ前後錯綜してるとは思うけど。あ、ワイン、お代わり」

シキ 「はい。……トクトクトク……。あの、ウズメ様、卑弥呼はどこから出てくるのでしょうか。クシナーダ様がワの女王にならず、スサノヲ様の妻となったことで、それは遅れたわけですよね」

ウズメ 「さあ、どこだろうねえ。ツクシかもしれないし、あんたたちのナカの国だったかもしれないし、ヤマトかも――そのへんのことは、皆さんのご想像にお任せするってことでいいんじゃないの」

ナツソ 「でも、ウズメ様、すごく事情通ですね。さすが神様」

ウズメ 「あ、あたし? あたしは作者とツーカーだから」

アナト 「そ、そうなんですかっあせる

ウズメ 「だいたいのことは知ってる。わかんなかったら、訊いたら教えてくれるし」

イズミ 「じゃ、教えてくださいよ……ヒック…」

一同 「…………」

イズミ 「アカルとイスズって、なんなんですか。わたしが思うに、あの二人が登場したために、わたしたちの存在感が薄れたんです」

アナト 「あ……」

シキ 「そう言われれば」

ナツソ 「そうですねー」

ヨサミ 「そお?」

一同 「むかっ

イズミ 「ヨサミ様! ミュージカルのヤオヨロズは、テーマがすごく絞られてたでしょう。共に生きて行くために自分たちのできることをする。そのために心の岩戸を開く」

ヨサミ 「ノベライズでもそうじゃん……ポリポリ」

イズミ 「そうですよ! だけど、とくにアカル様なんですよ! あの人のおかげで、なんかテーマが複雑になっちゃったんですよ! それが結果的に、あたしたちの存在感を薄めることいもつながったんです」

アナト 「そうだ。たしかにそうだ」

ナツソ 「母と子の物語みたいな一面もありますよね。スサノヲ様もイザナミ様との関係がありますし」

シキ 「言えば、私たちの誰かがアカル様やイスズ様になってもよかったですよね」

ヨサミ 「あのナオヒのばばあは嫌だけど」

一同 笑

イズミ 「そこ、どうなんですか、ウズメ様」

ウズメ 「じつは作者は最後の最後まで迷っていたんだ。ミュージカル版では、あんたらの名前は地名由来、あるいはその土地に関連した実在の人物から取られてるの」

アナト 「え!!

イズミ 「ほんとうですか」

ウズメ 「アナトは、キビとキビのコジマの間にあった穴海=穴門(あなと)から取られた。ヨサミはもう言ったよね。シキとイズミは、それぞれヤマトの磯城(しき)と今の大阪の和泉から取られているの。どっちも古い地名だからね」

シキ 「そうだったのですか」

ウズメ 「ミュージカルではあれこれ説明できないので、その地名由来の巫女を設定することで、そのあたりの土地の巫女だという印象を出したかったわけ」

ナツソ 「わたしはどういう由来なんでしょう」

ウズメ 「日本書記の景行天皇の段に、神夏磯媛(かむなつそひめ)という首長が周防の国(現山口県)にいたと記されている。作者はこれを海洋系の巫女の首長だと考え、そこから同じ瀬戸内の児島にも同じ名の巫女を設定したんだ」

ナツソ 「なるほど~。得心行きました~」

アナト 「そういえば、わたしはミュージカルでは『キビのアナトと申します』とクシナーダ様に名乗っていますね」

ウズメ 「そうそう。他の巫女は全部他の地域設定だったの」

アナト 「ミュージカルのまんまじゃいけなかったんですか。その初期設定だと、あたしはキビでしょうけど、ヨサミはタジマや丹後、ナツソは周防、シキはヤマト、イズミは和泉だったわけですよね」

シキ 「その配役だとわたしはイスズ様の役割になり、ヨサミ様がアカル様の役割ですよね」

ウズメ 「そ。だけどね、作者はミュージカルで使った五人の巫女たちを大事にしたかったんだって。今回イスズとアカルは、だいたいどういう役割を持って登場してきたか、書き始めてすぐに分かったらしい。迷いながらもね。そうなると、シキちゃんやヨサミはどうなったのかな~」

一同 「あ……」

ウズメ 「で、結果的に五人は吉備に集め、密度の濃い関係にした。そのほうが人間の葛藤とかも描きやすいしね。あまり離れた土地の巫女同士だと、とくにアナトとヨサミのような関係は描きにくし、読者に伝わりにくいでしょ」

アナト 「そういうことだったんですか」

ウズメ 「あんたら、作者に大事にされたんだよ。作者はあんたたちに〝黄泉返し〟をさせたかったんだ。遺志を継ぐ若い巫女たちとして」

一同 グスッ…(ノ_・。)…

ウズメ 「そういうわけだから、あたしは帰るわ」

アナト 「え? も、もうお帰りになるんですか」

ウズメ 「旦那様が待ってるから」

アナト 「旦那様って」

ウズメ 「やあねえ。決まってるじゃないの。サルタヒコ様よ。じゃあねえ~~(^-^)ノ~~」

シーン。

ヨサミ 「あ、そだ。あたしもそろそろ帰んないと」

アナト 「え? ヨサミも?」

ヨサミ 「うん。帰ってご飯作んないと。あの人、結構手がかかるのよ。じゃ、またね(^_-)☆」

シーン。

シキ 「アナト様!」

アナト 「は、はいっ」

シキ 「飲みましょう!! わたしも芋ロックにしますビックリマーク

アナト 「お、おし。飲もう」

イズミ 「もうなんでもええわ~~! ナツソ様もほらっ、もっと飲んで!」

ナツソ 「はいはい。お付き合いしますね」



キビ巫女たちの宴は、未明まで続いたという。

その後、彼女たちから次回作についての要望として嘆願書が作者へ送られてきた……。

かどうかは定かでない。


チャンチャン♪




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