サンショウウオの話71/礼子 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

これは夏の話。ドーモー1号は穴のあいたタッパーに隔離していましたが、帰って来てふと見るとタッパーがない。
「1号は?」
「冷蔵庫」
「・・・」
冷蔵庫をカパッとあけると、バターケースの横に1号が。本当に退屈しないうちです。暗くて冷たくて居心地よかったのか、水苔から出て歩いていました。元気になってね。
その晩寝ようとしたらテレビの横にタッパーが。あれっ、いつの間に1号を外に出したの。開けると水苔から目が出ている。冷蔵庫に入れようとすると冷蔵庫に1号。あれっ、2号をタッパーに入れたのかな。水槽を見ると水槽に2号。…あなたは?
あくる日聞いてみました。
「旦那旦那、どうも一匹多いんですけど」
「え」
「まさか3号?」
「違う違う」
「なーにー?」
「零号改だ」
…。はいはい。改君ね。よろしく。