蟹座的な生きがい |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

この生きがい論は、後の星座になるほど、文章量が多くなる傾向が出てくると思います。
それは、これまでの星座の流れで説明しようとするためです。
すでに自分の星座を読み終えた方も、新しい情報が流れの中で出てきます。また自分の生まれ星座以外の影響を強く受けている人もいらっしゃいます。
そんなことも念頭に置きながら、お楽しみください。


生きがい論、その4。
4番目の星座、蟹座です。
生きがい論を書くときに、もっとも書きにくいのが水のエレメント星座です。
水のエレメントは、特殊な指向を持っています。しかし、これはそれぞれのエレメントが順を追って説明されるときに、はっきりしてくると思います。
火なら牡羊座→獅子座→射手座といった形で、水も蟹座→蠍座→魚座という流れで追ったときにこそ、その本質は理解しやすくなります。

さて蟹座ですが、以下のような側面があります。
女性星座であること。
水のエレメント星座であること。
カーディナル・サイン(活動宮)であること。

カーディナル・サインは創造の性質を持っていることを、双子座の項目で述べました。
この創造の性質と女性星座の受動性の結合したものが、まず蟹座であるとお考えください。
その結果、蟹座に顕著に備えられた特徴が「母性」なのです。
母性こそ、すべてを生み出す源です。
母は強し。

牡羊座→牡牛座→双子座という流れは、再びカーディナルに戻るまでの一つのプロセスでした。
この第一回目の流れで主眼になっているのが、「自己」の「成立」「確立」「拡大」でした。
成立は「オレは生きているんだぁ」という牡羊座、確立はこの世の現実の中で不動のものを得ようとする牡牛座、そして知性や精神活動を通じて自己の可能性を拡大しようとするのが双子座でした。
これはあくまでも自分という存在を、この世の現実に割り込ませ、陣地を広げ、そこで生きる可能性を探るという流れです。

そして現実的にも知的に、この世になじんできた魂が向かう次のプロセスが、家族との共生なのです。

蟹座の定位置である4ハウスは、「家庭」「家族」「母」の部屋です。
そう。
ここにいたって魂は家族を認識するのです。
それはどういうことか?
物語のストーリーは、もはや一人称では語られない。三人称になってゆくのです。
わかりにくいか。
つまり、自分以外にも存在する人間がいることは分かっていました。
人は生まれ落ちた瞬間から、母の乳を求めます。
本能的です。
父や母、兄弟。それを認識してゆきます。
その先に「自分が属しているファミリー」というものがあるということを知ります。

この世に生きている中での、最初の自分が持つべきグループ。与えられているグループ。

蟹座の本質は、最初から自分1人でないのです。
それまでのプロセスは、1人というよりも主体が自分だけで良かった。
しかし、蟹座以降の魂の遍歴は、もはや1人ではいられないのだという流れなのです。

蟹座は水のエレメントです。情の星座です。
双子座の領域で十分に知的発展を遂げた魂は、人との関わり(まずは家族)の中で今度は「情操」というものを発展させてゆきます。
これは自然な流れです。
水のエレメントがカーディナル、女性星座と結合したときに初めて誕生する傾向です。

こうして蟹座という星座の質が構築されてゆきます。
この蟹座の質を強く受け取った人は(誕生の12星座だけとは限りません。月や他の重要天体が蟹座に入れば影響を受けます)、親兄弟との関係をこの世的に強く持っています。
したがって、それらを抜きにした人生というのは、なかなか考えにくくなってしまいます。

しかし、現代は親が子を、子が親を殺す事件が起きるのさえ日常茶飯事のようになってきています。
これは結局、家族の中で愛を得られなかった魂が、情操をうまく発展させられなかったことに関わっています。
そのような親子関係が崩れ、希薄になった現代。

蟹座の本質は理解されにくくなっています。
他者、家族との関係がとても大事で、愛し愛されて生きてゆきたいのが蟹座なのに、世の中の全体傾向は「自己」「自我」を尊重する方向にあります。
自分というものを持って生きてゆくのが当たり前。
自立した女性。
家族にとらわれているなんて、なんか甘えているみたい。
いつまでも子供じゃないんだ。
そんな言葉が頭の中を飛び交ってしまいます。

しかし、蟹座の本質はこの世に生を受けたときからそばにいた、もっとも濃い人間関係の中で愛情を通わせ、その中で自己確認したいのです。
これを完全否定されてしまうと、蟹座は崩壊してしまうかも知れません。

「家庭」には生まれ落ちた家と、配偶者を得てから自分が作る家庭とがあります。
蟹座の本質が強い人は、ここでも自分が重要な役割を果たすことになります。
配偶者。我が子。これは第2の家庭です。
当然、これもまた自分の人生の中で、何よりも重要なものへとなってゆきます。
そこで愛情に満ちた関係を構築できれば、蟹座は満足です。
「ママ、大好き」
「ママも大好きよ」
子供をハグする感触と、そのときのえもいわれぬ幸福感。

蟹座の生きがい、それは「もっとも身近な人たちとの愛情の交流」です。

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