牡牛座的な生きがい |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「生きているはりあい」
「生きていて良かったと思うこと」
この生きがい論の二番目は、牡牛座です。牡羊座に続く、この第2の星座には、以下のような特徴があります。
女性星座。
地のエレメント。
フィックスド・サイン(不動宮)。

牡羊座でこの世に生まれ落ち、生を実感しようとした魂が、次にこの世で求めるもの。
それが牡牛座の基本的な性格に影響を与えています。
まず誕生した子供は、最初に「自分」と「この世」が分かたれていることを学びます。
天と地、男と女、私とあなた。
この世界は物質的です。二分化したこの世界で生きていこうとすると、自他のモノを分けないといけなくなります。
最初、子供にとっては「自分のもの」も「他人のもの」も関係ありません。
そこにあるものはすべて手にとって良いし、自分が自由にできるはずのものでした。
ところが。

あるとき、ぺちっと手を叩かれるのです。
「それは○○ちゃんのでしょ」

がーん。

こうして二分化が発生していきます。
そして発生した二分化の中で、牡牛座が求めるのは、
「所有すること」
なのです。

不動宮で、地のエレメントという、もっとも安定型の星座である牡牛座は、その指向がもっとも物質的な星座です。
そして2ハウスは牡牛座の定位置ですが、これは通常、財運や所有物に関わる部屋です。
牡牛座が「所有」ということにこだわるのは、二分化された中で自分の権利を主張し、自分の得たものを守り抜くためです。そして動機は、それで「安心」を得ることなのです。

この地上に生を受けた人間は、目に見えるもの、手に触れら得るものしか、通常は確認できません。
これがすべてだと思っています。
だからこそ、このモノをどうにかして自分のところへ蓄えておかねばなりません。
それは他人のモノになってしまうかも知れないからです。

牡牛座のサビアンシンボルなどを読むと、意外に好戦的なものが多いのが目につきますが、これは牡牛座が一度所有したものを守ろうとするからです。
牡牛座の支配星は、金星です。これもお金に関わる星です。
金星(ビーナス)はギリシア神話の中では、単純に愛と美の女神ですが、さらに古代、シュメールなどにおいては戦神としての性格も備えていたと言われます。

金星の支配する星座は二つあり、もう一つは天秤座です。
この「戦う女神」→「愛と美の女神」への変遷は、牡牛座→天秤座への変化でもあるように思えます。

ともあれ、牡牛座は自身の安心のために、何かを所有していかねばなりません。
「集めること」「蓄えておくこと」そのものが目的になってしまい、切手やフィギアの収集家になったり、それを使うとかいうことはあまり考えず、ガレージの中にビンテージ車を何台も並べて満足を得る、などということもあり得ます。
これらは他人から見ると「なんで、そんなことをするの?」という、きわめて理不尽で不思議な行動に思えます。
しかし、本人にしてみると、この世にあるモノを通じて自分を確認している作業なのです。

「俺はこれだけ集めたんだ」→「集められた自分」
「私はこれだけの財産を持っている」→「持てる自分」

そうして初めて牡牛座は、満足と安心を得るのです。
またこの「所有したい」という欲求は、モノだけではなく、恋人や配偶者、子供などにも注がれる場合があります。
度が過ぎれば、これらは「執着」と呼ばれるものになってゆきます。

こうして書くと、なんだか物質欲の権化みたいに誤解される方がいらっしゃるかも知れませんが、このプロセスは誰もが通過するもので、これをわかりやすく体現してくれているのが牡牛座だと言えます。
またこの牡牛座的なありようがこの世になければ、モノを大切にしない、現実を軽視した、根無し草のような生き方や社会が出現する可能性さえあります。

精神と同じように、物質は欠かせないものです。
軽んじてもいけないものです。
とくにこの魂の輪廻転生という大きなゲームには、絶対に必要なファクターです。
牡牛座は誰よりもこの「現実」「物質」というファクターを通じて、この世を体感しようとしているだけなのです。
だからこそこの星座の生きがいは、「所有すること」なのです。

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