「ノー・ソリューション」の刊行が目前です。
すでにゲラの再校は行い、ふくろう出版の担当の方に手に委ねられています。
テキスト目的とはいえ、久々に自分の書いたものが「本」という形になるのは、やはり嬉しいものです。
一般への刊行は4月25日を予定していますが、これをスプリング・ボートにして、さらなる高みへ飛び上がりたいものです。
と、ふと思い出したのは、20年前のことです。
その年、私は江戸川乱歩賞を受賞しましたが、受賞作「風のターン・ロード」の9月の刊行に先駆けて、じつは春に(4月だったと思う)、「バイク物語」を講談社のティーンズ文庫から出版しているのです。
これらは当時の編集の方からの要望で、そうなったのですが、書いたのは「ターン・ロード」が先。しかし、乱歩賞は数次にわたる選考が行われるので、刊行は「バイク物語」が先となったわけです。
今年の状況は、なにやら20年前とどこかでシンクロしているような気配を感じます。
「ノー・ソリューション」の後に来るのは「リメンバー」で、これはもう決定しています。
完成後、読んでもらう編集者の方も決まっています。
「リメンバー」は、もしかしたら、今後の20年を左右する作品になるのかもしれません。
実を言うと、最近、非常に明確なビジョンを見るようになりました。
「リメンバー」出版後の出来事なのですが、このような未来が自分たちに待っていると実感する、あるビジョンです。
これも20年前の私と同じで、そのとき私は江戸川乱歩賞の受賞式の会場に立つ自分のビジョンを、実に明瞭に、繰り返し繰り返し見ていたのです。
これが一種の予知なのか、それとも想像という思念の力が創造をもたらしたのか、どちらかわかりませんが、ともかく当時と見事にシンクロしています。
つまり、今回のビジョンもおそらく実現するだろう、と。
楽しみな年です。