Zepherous
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夕日の美しい湾

あれは初秋のことだった。私はある湾にいた。
背後に小山の群れをたずさえた、かなたに島の見える、夕日の美しい湾。
セイルを天空にむかって突き立てた。翼だ。
翼が風をはらんだ。
風の巨大な力。それをハーネスが受け止め、
私の体を通してボードへと伝えてくれる。
ボードは浮かび上がり、水の粘り気から逃れ、宙を進んだ。
私は風になった。

小高い山

あの秋の日、私は小高い山の上にいた。
風は教えていた。今だ、と。
手を軽く引くと、風が機体に命を与えた。
風の方角へと駆け出した。
地面を後ろへ後ろへと力いっぱい蹴った。
と、足が空を蹴った。
ふわりとからだが浮いた。
足の下に牧場が広がっているのが見える。
私は風になった。

海が見える丘

あの夏の日、海が見える丘の上に私はいた。
自転車のフックにボードをかけると坂道を駆けた。
私は風になった。
潮の香り。波の音。
海が私を待っている。
胸が高鳴った。