Dr. Strangely Strange『Heavy Petting』
いつの間にか目次機能がついて長文も書きやすくなりましたね。(前からあったけど気づかなかっただけとか・・・)[data-toc]{background:#ffffffd9;border:1px solid var(--color-border-medium-emphasis,#08121a4d);border-radius:8px;display:flex;flex-direction:column;gap:8px;padding:12px 16px}[data-toc] h2,[data-toc] ol,[data-toc] p{margin:0}[data-toc] .toc-header{align-items:center;display:flex;font-weight:700;gap:12px}:is([data-toc] .toc-header) h2{color:var(--color-text-medium-emphasis,#08121abd);font-size:.875em}[data-toc] .toc-empty-message{color:var(--color-text-low-emphasis,#08121a9c);font-weight:400}:is([data-toc] .toc-empty-message) p{font-size:.75em}[data-toc] ol{list-style:none;padding:0}:is([data-toc] ol) .last.collapse a{border:none}:is([data-toc] ol) a{border-bottom:1px solid var(--color-surface-tertiary,#08121a14);display:block;font-size:.75em;padding:6px 0;-webkit-text-decoration:none;text-decoration:none}[data-toc] .h4,[data-toc] a{color:var(--color-text-medium-emphasis,#08121abd)}[data-toc] .h2{font-weight:700}[data-toc] 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Petting』:アイルランド・フォークの異才が放ったサイケデリックな傑作ほぼほぼ鼻歌のようなサイケフォークです。ロジャー・ディーンジャケのお陰で高騰していますね。1年ほど前に、渋谷のHMVで壁に飾られているのを見ました。以下は、Geminiの真面目な解説です。👨🎤 バンドの沿革Dr. Strangely Strange(ドクター・ストレンジリー・ストレンジ)は、1967年にアイルランドのダブリンで結成されたエクスペリメンタル・フォークグループです。中心メンバーは、ボーカルとギターのTim Booth(ティム・ブース)と、ベースとキーボードのIvan Pawle(アイヴァン・ポール)、そしてマルチ楽器奏者で画家のTim Goulding(ティム・ゴールディング)のトリオ。彼らは、後にフォーク・ロックの重要人物となるIncredible String Band(インクレディブル・ストリング・バンド)のプロデューサー兼マネージャーであるJoe Boyd(ジョー・ボイド)に見出され、アイランド・レコードから1969年にデビューアルバムをリリースしました。彼らの音楽は、アイリッシュ・トラッドを基調としつつも、サイケデリックな要素やユーモラスでシュールな歌詞を織り交ぜた、極めて個性的な「フリーク・フォーク」として知られています。🧑🤝🧑 アルバム制作メンバー『Heavy Petting』は、以下の主要メンバーとゲストによって制作されました。 Tim Booth(ティム・ブース):ボーカル、ギター Ivan Pawle(アイヴァン・ポール):ボーカル、ベース、キーボード Tim Goulding(ティム・ゴールディング):ボーカル、様々な楽器 Neil Hopwood(ニール・ホップウッド):ドラムス主要なゲストミュージシャンとして、当時アイルランドで活動していた若きギタリスト、Gary Moore(ゲイリー・ムーア)が参加しています。また、Terry Woods(テリー・ウッズ)やGay Woods(ゲイ・ウッズ)夫妻も参加しました。プロデュースは、フォーク・ロック界の重要人物であるJoe Boydが手掛けています。💿 アルバム制作経緯と音楽性本作は、1970年にVertigo(ヴァーティゴ)レーベルからリリースされました。「Heavy Petting」というタスラングであり、彼らの音楽的スタンスを象徴しています。アルバムの内容は、ゆるやかで牧歌的なフォークを基調としながらも、ラグタイム、中世音楽、そして長尺のサイケデリックなジャム(「Sign On My Mind」など)といった様々な要素を織り交ぜています。これは、「純粋なフォークの枠組みから逸脱し、ジャンルの境界線で遊んでいる」という、彼らの自由奔放でシニカルな態度を、このタイトルに隠されたユーモアと共通させていると言えます。ゲイリー・ムーアの貢献当時無名だったGary Mooreがギターで参加していますが、彼の演奏は後のキャリアのようなブルース・ロック的な攻撃性や派手さとは異なり、アルバム全体の緩いフォークサウンドに溶け込んでいます。特に「Sign On My Mind」でのエレキギターは、曲のムードを拡張する要素として使われており、音を聞いただけでは彼と気付かないほど抑制されたプレイとなっています。ロジャー・ディーンの変形ジャケットアートワークは、プログレ界の巨匠Roger Dean(ロジャー・ディーン)が手掛けました。そのデザインは、複雑に折りたたまれるユニークなダイカット(型抜き)仕様となっており、非常に傷みやすい構造です。このデザイン性の高さと希少性から、オリジナルのアナログ盤(Vertigo Swirl盤)は、現在では中古レコード店の壁飾りになっています。📝 全曲解説 Ballad Of The Wasps(蜂のバラード): 明るく軽快なカントリー調のフォークソングで、アルバムの幕開けを飾ります。日常のモチーフをシュールに描く、彼ららしいユーモアに満ちた楽曲です。 Summer Breeze(夏のそよ風): 穏やかでメロディアスな美しいフォークナンバー。ゲイ・ウッズの透き通ったゲストボーカルがフィーチャーされ、夏の気だるいような抒情的なムードを醸し出しています。 Kilmanoyadd Stomp(キルマノヤッド・ストンプ): ジャグバンドやラグタイムを思わせる軽快でコミカルなインストゥルメンタル曲です。地元の地名「キルマノヤッド」を冠しており、バンドの持つ遊び心と演奏技術が垣間見えます。 I Will Lift Up Mine Eyes(我目を上げて): 讃美歌のような厳かで美しいアカペラ曲。短いながらも、アルバムのムードを一時的に静謐なものへと転換させ、彼らの多岐にわたる音楽的素養を示しています。 Sign On My Mind(心の中の標識): 8分を超える大作であり、本作のハイライトの一つ。ゲストのGary Mooreのエレキギターが参加していますが、彼の演奏は激しいロックギターではなく、サイケデリックな雰囲気を演出する要素として控えめに貢献しています。静かなフォークから幻想的なジャムへと展開する、彼らの実験精神の頂点です。 Gave My Love An Apple(恋人にリンゴをあげた): 叙情的なアコースティックナンバー。イヴァン・ポールのベースラインが印象的で、素朴なメロディの中に独特なグルーヴを生み出しています。 Jove Was at Home(ジュピターは家にいた): 中世音楽のような古風な雰囲気を持ち、古代神話の主神ジュピターを登場させるという、彼ら特有のシュールな世界観が表現された短い曲です。 When Adam Delved(アダムが耕した時): 中世イングランドの社会批評的な詩に基づいたトラッド風の楽曲。コミカルに、しかし敬意をもって演奏されており、当時のカウンターカルチャーとの接点も感じさせます。 Ashling(アシュリング): アイルランドのトラッド音楽に深く根ざした、美しいインストゥルメンタル曲。マンドリンやコンサーティーナなどが郷愁を誘うメロディを奏でます。 Mary Malone Of Moscow(モスクワのメアリー・マローン): アップテンポで明るいフォーク・ポップナンバー。タイトルに異国情緒のある地名が登場するなど、彼らの想像力とユーモアが発揮されています。 Goodnight My Friends(おやすみ、友よ): アルバムを締めくくる、短いながらも温かい別れの歌。シンプルな構成で、リスナーに親密に語りかけるようなフィナーレとなっています。💥 アルバムの影響『Heavy Petting』は、商業的な成功よりも、カルト的な人気と高い評価を獲得しました。このアルバムがしばしばレコード店でプログレッシヴ・ロック(プログレ)のコーナーに置かれるのは、以下の理由からです。 レーベル効果: リリース元のVertigo(ヴァーティゴ)が、Black SabbathやColosseumといったプログレ/ハードロックのバンドを擁するレーベルであったこと。Vertigoのオリジナル盤(Swirl盤)は、音楽ジャンルにかかわらずプログレ・コレクターの対象となります。 アートワーク: ジャケットがRoger Dean(ロジャー・ディーン)によってデザインされたこと。ディーンはYesなどのプログレ・バンドの顔とも言える存在であり、彼の作品はプログレの視覚的イメージと強く結びついています。 音楽的な越境: 伝統的なフォークの形式から逸脱し、長時間の曲や多様な楽器、ジャンルを取り入れた「プログレッシヴ・フォーク」と見なされていること。Roger Deanによるダイカット・ジャケットは、その形状の複雑さゆえに現存する美品が極めて少なく、オリジナル盤はコレクターズアイテムとして異常なまでに高騰しています。近年は、手元のもそうなのですが、紙ジャケットCDがリリースされ、音源をより手軽に楽しむことができるようになっています。