立派に事業を経營し、強引な程、新計畫と推行して、それがみな成功して居る、自他共に事業家と許しては居るが、フトした時に弱々しい奌を現はす人が居ます、そこを触れられると、非常に厭やがる、この弱々しさが逆にあの様な強引な商法を行はせるのかも知れんと觀察します。その神経質的な細心が其の人の性命。


 四囲の人が考へも付かぬ様な事を仕出かす。状況としては、其処までしなくともと考へられるし、常識上としてもその様な手段をとる必要もない、それだのにあっと驚ろく様なことを、敢へてやって終ふ、本人に云はせれば、俺はそふしたかいたからさ!!これも性命—。


 生れは役者としての所謂家柄の家。自分も役者の子として育て上げられ、乍ら、何時もその役者生活に不満の連続で本職に気が這入らない。欲求不満の形が、毎日の生活をトゲトゲしい言葉で暗くして終って、次第に四囲の人からウトンぜられて尚ほ淋しくなってゐる。これは性命発現不足の場合。