温故知新と云ふ言葉もあります。古るきをたづねて新しきを知る。古るい時代の人間も私達の現在と同じ人間だったし、同じ事をよろこび悩んでゐたのです。


 ダーウインの進化論に依れば人間の祖先は猿であったと、小學校の時習って、お父さんのお父さんの頃は猿なのかなと驚いた事がある。然し歴史の、文化の光りをさか登ってみると、まず百万年前までは猿になってゐない。完全な人間共であって、喜怒哀楽の情も現在の吾々と同じです、

 

昔は電気冷蔵庫もないし、原子爆弾もないけれど、金と云ふ者が現在と同じ働きをして居たのです、金が存在するから、貧富の差があり、階級も出来爭ひもあり、宗教が出来宗教家は常に時の權力者におもねて權力者の都合のよい宗教や道徳を作り出してゐたのも、現代と同じであるし、だから、古るい知識の本を讀んでみると現代の世の中と同じ事を云って居ます、昔の猿共は隨分悧功だったらしい。


 現代を知る為には昔を正確に知らねばならぬ。大きな「探源」です、一個人でも、現在の状態は何にもとづくか、そのいろいろの事情と、その事情のもとづくところを知れば今度は斯ふなって行くとの予測も出来るものです。