余り商賣に明るい人は、その自分の見方に溺れ、就着して終って、今の中にさっさと止めて、新らしい方針で出直した方が良いにと思ふのに、と、人が心配してくれて居る時を理用せずに次第に「彼奴は馬鹿だ」と親戚からへも見離されて終ふのである。


 斯んな人に限って、私は何時も運が悪るいと、世の中をさへ怨む確かに悪るい、頭の血の運りがと思いませんか、
又、商賣が、今の中にやめればよいのに、グヅグヅして、元の子も無くなるまで決断の付かぬ人もあります。


 愚痴なのか、機微を知らぬのか、賣掛けや在庫の豊富な中に退却転進すればよいのに、他人の口先ばかりの援助約束をばかり頼りにして、結局には在庫ゼロ、賣掛けは回収すると一緒に食ひのばしに使ってゼロ、完全にペンヤンコです。