人の家に土足で踏み込んだら、大変なことになるが、

人の心の中に土足で踏み込んで 平気な奴が居ます。


土足で踏み込むとは、斯ふ云ふこたです。

「此の家はいい家なんだがな‼︎子供が生れるといいんだが」と云はれて泣いた奥さんがある。私もやられた。「先生、奥さんを田舎から連れて来たら良いだろ」出来るなら、君に云はれなくともさっさと連れて来るよ、出来ないから、仕ないんだ、人の心の一番痛いところに土足を踏み込むものじゃない‼︎と怒鳴りたくなる。
 

土足で踏み込むとは、相手の心に構はず「親切ごかし」に喋ることである。
子供を生まない奥様は これを云はれると一番つらいんです‼︎と云ふ。
 

私は、お宅には親戚が何軒ありますか、その中で奥さんの悲しむ事を云はない親類は何軒あるんですか、二軒 それなら、いざと云ふ時、本当に心配して貴女達の困窮した時、助けてくれる親類はその二軒だけなんです。よく考へて大切に交際しておきなさい。

 

貴女が一番苦しんで居るところをヅケヅケ云ふ人は 親切の様で不親切な人です。好意を見せるだけのオベンチャラ親類なのです。少しでも悪るくなったらスグ逃げて終ふ。
又、何の気もなくその様なことを云ふのは軽はずみの親類なのだ、どうして此の様な人達が頼りになりませうか、只、黙って心配して、それを云ふと苦しむだろふと 思ひやりのある親類が二軒あるだねでも有難いと思ひなさい。

 

人の心の中で秘して悲しんでいる事を 親切らしくあれこれ云ふ奴はニセ忠義と云ふ。
それは、人の家に土足でヅカヅカ上り込む心ない連中である。