次に躯の「はこび」も大切である。

立派な服装、美くしい服を着た美人でも、ちょっとした躯の動かし方に、性格の悪さや、人柄の下品さを現はす時がある。


支那の鬼谷子と云ふ、おっかない兵学者の觀相法の方に「女人坐して躯を揺がすは淫奔の相」とあるが、座布団の坐り方一つで、その人の上品下品、育ちの良さ悪るさ、親の躾の良さ悪るさが現はれます。


私は坐れないの、と長い足をズラリと出して横坐りの娘。足が不自由なわけではない、郊外の地主の娘さ、洋風の家で椅子、ベッドで育ったのではない。近頃急に土地成金、それの娘が、洋装して来たらすぐそれだ。僅か三十分程も坐れないとは、これは親の仕付けが悪るいんだ。


見てもキビキビした動作の軽るい青年、ダラリとした頭の中まで腐った様な社長。いろいろある。その姿で事業もキビキビ動いて居る様に感ずるし、だらりとした経営であろふとも感ぜられる。


躯の動かし方も一つの言葉の様なものである。