2012年6月9日(土) 予選 ZENT CERUMO SC430 #38
公式予選総合結果2位(1分55秒503) 天候:曇り|コース状況:ドライ
シリーズ戦で唯一の海外開催となる第3戦。F1マレーシアGPの舞台ともなるセパン・インターナショナルサーキットは、クアラルンプール国際空港からほど近い場所にある全長約5.5kmのチャレンジングなコースとして知られ、昨年LEXUS TEAM ZENT CERUMOは予選9位から追い上げ、5位入賞を果たしているコースだ。日本からコンテナでの長旅を終えた#38 ZENT CERUMO SC430は、チームスタッフたちの手によって他の機材とともに既にガレージ内に収められ、戦いの時を今や遅しと待ち受けている。
走行開始となった土曜。フリー走行は現地時間午前10時だが、まずは1時間40分間の混走時間帯が設けられ、続いてGT300、GT500それぞれ10分間の占有時間帯となるなど、通常よりも少し長めのセッションとなっている。
前日の金曜は南国らしい射るような日差しと暑さに見舞われたものの、セッション開始時点でセパンの上空には雲がたれ込め、セパンにしては珍しく比較的過ごしやすいコンディションとなった。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、まずは立川がステアリングを握ってコースイン。アウト&インでマシンとコースチェックを行うと、午前10時13分に再びピットアウト。まずは2分00秒台のゆっくりとした周回を刻むが、午前10時21分には1分56秒615で一気に2番手に躍り出る。
直後に#6 ENEOS SUSTINA SC430に2番手の座を奪われたものの、立川はさらに1分56秒394にタイムを上げると、そこからはピットイン&アウトを続けつつ、タイヤ評価とセットアップをこなして行くことに。
セッション前半にステアリングを握った立川に代わり、午前11時09分には平手がコクピットに乗り込み、#38 ZENT CERUMO SC430はピットアウト。平手も立川から引き継ぎ、タイヤ評価とセットアップを進めて行くと、混走時間帯終了間際の午前11時38分、この時点での自己ベストとなる1分57秒781をマークしてピットへ帰還する。
GT300の占有時間帯に続き、10分間で設けられたGT500の占有時間帯。混走時間帯を3番手という好位置で終えたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、引き続き平手にステアリングを委ね、#38 ZENT CERUMO SC430をピットから送り出す。ややゆっくり目にコースインした平手は、ゆっくりとタイヤを温めると計測2周目に1分58秒646、3周目に1分56秒178と順調にタイムアップすると、チェッカーフラッグが提示されたファイナルラップに1分55秒958にタイムアップ。惜しくもポジションアップこそならなかったが、#38 ZENT CERUMO SC430は#12 カルソニック IMPUL GT-R、#6 ENEOS SUSTINA SC430に続く3番手でこのセッションを終え、幸先の良いスタートを切ることとなった。
スーパーラップ方式となっている今大会、午後3時30分からの予選1回目はスーパーラップ進出となるトップ10争いが焦点となる。まず15分間のGT300の予選1回目が終わると同時に、午後3時45分からスタートしたGT500の予選1回目。ここで#38 ZENT CERUMO SC430のコクピットには平手が乗り込み、タイミングをはかって開始から5分が経過した午後3時50分、ピットを離れて行く。
ゆっくりとタイヤを温めつつ、計測1周目を2分02秒884とした平手だったが、さらなるタイムアップを前に#6 ENEOS SUSTINA SC430がエンジンブローに見舞われたため、なんとセッションは残り4分で赤旗となってしまう。
この段階で#38 ZENT CERUMO SC430のポジションは7番手。ポジション的にはスーパーラップ圏内だが、残り4分の再開後に1ラップのみしかアタック出来ないとはいえ、各車がタイムを更新してくるのは必至。再開後の平手のアタックに注目が集まる。
そして午後4時05分、残り4分でセッションは再開。#39 DENSO KOBELCO SC430や#36 PETRONAS TOM’S SC430に続いてコースインした平手は、前車との間合いをうまく計りつつ、タイヤを温めて行くと翌周にはいきなりのアタックに。ここで渾身のアタックを見せた平手は、1分56秒594を叩き出し、見事トップタイムで予選1回目を通過。#38 ZENT CERUMO SC430は絶好のポジションでスーパーラップ進出を果たすこととなった。
迎えた午後5時09分に始まったスーパーラップ。予選1回目のトップとなったため、#38 ZENT CERUMO SC430は最終出走となる。ステアリングを握るのは立川だ。
ライバルたちのアタックの様子をコクピットで待機しながら出番を待つ立川。コース上では2番目にアタックした#18 ウイダー HSV-010の1分55秒321がトップタイムという状況が続き、そのまま#38 ZENT CERUMO SC430のアタックの順番がやって来る。
コースインした立川は、1周目、2周目と入念にウォームアップすると、いよいよヘッドライトを点灯させアタックに入る。セクター1は0.056秒後れをとったものの、セクター2では逆に0.011秒のマイナス表示に。さらにセクター3では0.133秒マイナスと、ポールポジション獲得への期待が高まったが、フィニッシュラインを超えた#38 ZENT CERUMO SC430のタイムは1分55秒503。惜しくも0.182秒#18 ウイダー HSV-010のタイムに届かず、#38 ZENT CERUMO SC430は2番手という結果に。固唾をのんでモニターを見つめていた高木監督以下、スタッフの表情には無念の表情が浮かんだが、それでも46kgという2番目に重いハンディウエイトを搭載しながらのフロントロウ獲得に充分な手応えを得る予選結果となった。
曇りがちの一日となり、路面温度も43~44℃程度にとどまっていたが、明日の決勝はさらなる気温上昇が見込まれるだけに、フロントロウからのスタートとはいえ厳しい戦いが予想される。朝のフリー走行などを含め、決勝を睨んでのさらなるセットアップの熟成が不可欠ながら、明日は開幕戦同様の好レースを期待したい。
ドライバー/立川 祐路
「スーパーラップでは最終コーナーでも特別ミスがあったわけではなかったのですが、残念ながらポールポジションに手が届きませんでした。あと僅かでポールポジションが獲れなかったということに関しては非常に悔しいのですが、46kgというウエイトを積んでいながらのフロントロウ獲得という見方も出来ますしね。今日は朝からウエイトのことを言い訳にしたくないので、あえて気にせず作業を進めて来ましたが、セットアップも持込みからあまり変更することもなく、良いバランスで走れていたように思います。もちろん、明日に向けてはまだやるべきことが残っていますが、決勝でもなんとか表彰台でフィニッシュ出来たら最高ですね」
ドライバー/平手 晃平
「朝は立川選手から走り始め、途中から僕がステアリングを引き継いだのですが、タイヤの評価もセットアップもうまく進んだように思います。良いフィーリングのまま公式練習を終えられたことで、自信を持って予選1回目に望むことが出来ました。赤旗中断になってしまいましたが、残り4分の再開後も落ち着いてアタックをまとめることが出来ましたし、しっかりとスーパーラップへの切符を手にすることが出来て、自分としても良い仕事が出来た一日だったように思います。決勝は2番手からのスタートとなりますが、個人的にこのセパンではこのような良いポジションからスタートした経験はありませんし、明日の朝にロングランなどやってみないことには決勝がどうなるか未知数ですが、せっかくのフロントロウですから明日の決勝もしっかり頑張りたいと思います」
監督/高木虎之介
「今日1日を振り返ると、流れとしては上出来だったのではないでしょうか。良くあの重いクルマをふたりのドライバーが乗りこなしていると思います。ここに来るまではもっと苦戦するだろうという話もしていたし、“なんとかポイントを獲らなければ”、くらいの雰囲気だったものが、状況次第では優勝という夢が見れるところまで来れるとは。良い意味で予想外でしたし、調子が良すぎて怖いくらいです。ほとんど今回はクルマのセッティングも触っていないのですが、クルマとドライバーは仕上がりも良くふたりとも一発のタイムも出ていますし、前回の富士ではレース展開が悪かったので、そのあたりもしっかりと気をつけて、この良い流れを崩さないように戦えれば良い結果が残せるように思いますね」