青酸コーラ無差別殺人事件②~毒入りチョコ事件と関連性がある事件~ | 全曜日の考察魔~引越し版

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第4の事件?(東京)

翌日の2月14日、東京駅の八重洲地下街で、会社社長の男性(当時43歳)が階段のところにチョコレート40箱入りの紙袋が置かれているのを発見した。男性は、一連の青酸コーラ事件から「このチョコレートにはもしや…」と疑い、警察に届けた。
当初、警察では遺失物扱いされたが落とし主が出てこないため、製造者に返却した。製造会社がこれを調べたところ、製造番号が破りとられていたことから不審に思い、研究所で調べたところ青酸化合物が検出された。
製造者が再び警察に届け、無差別殺人事件として捜査したがこの件でも犯人逮捕はできなかった。またこのチョコレート箱には「オコレル ミニクイ ニホンジンニ テンチュウヲ クタス」(驕れる醜い日本人に天誅を下す)などと片仮名のゴム印による脅迫文らしきものが添付されていた。
この事件と第1〜3の事件との関連性は不明である。

第5の事件?(東京)

同じく2月14日、東京駅の隣駅である神田駅のトイレでチョコレートを拾った男性がいた。彼は電車に乗るとこれを食べたが、意識不明となって秋葉原駅から救急車で病院に搬送された。病院では食中毒と診断される。幸いにも命に関わるようなものではなく、本人は意識が戻り翌日には退院している。
当時、これは同じ日に神田で発生した青酸チョコレート事件とは関連がないと思われていた。ただの食中毒という診断だったため警察への届けもなかったのである。しかし翌年になって神田の話が捜査員の耳に入り、拾った本人から提供されたチョコレートを分析したところ微量の青酸ナトリウムが含有されていたことが判明した。
手口は八重洲口のものと同様、銀紙を剥がしてチョコレートの裏を削り、青酸ナトリウムを混入させるものであった[1]。

第6、第7の事件?(東京)

2件の青酸チョコレート事件を受けて警察が改めて捜査を行ったところ、2月14日以前にもチョコレートの入ったバッグが東京駅に置かれているのを見たと言う複数の証言があった。これらのチョコレートを置いたのは同一人物で、コーラに青酸を入れた犯人である可能性が高いと言われたが真相は判明していない。なお、このチョコレートについての詳細は不明。

さらに、また意外な事件が発生する。

全日空817便ハイジャック事件との関連

メッキ工場での青酸窃盗

1977年3月15日の午後1時半ごろ、横浜市鶴見区内のメッキ工場で、工業用資産ナトリウム20グラムが騙し取られる事件が起こる。白衣を着た男は、横浜市の公害対策局水質検査員「森一道」の名刺を出し「お宅で工業用の青酸ナトリウムを扱っていますね。検査します」と告げた、一連の青酸コーラ事件でメッキ工場への立ち入り検査が厳しくなっていたため、メッキ工場の社長は男の言葉を信用して、青酸ナトリウムの錠剤を見せ、求められるままに工場の施設を案内して説明していた。そこへたまたま得意先からの電話が入り、社長は席を外した。

電話が終わって戻ってみると、男の姿がなく、男に手渡して見せていたはずの錠剤型の20グラムの青酸ナトリウム1個もなくなっていた。社長が横浜市公害対策局電話で問い合わせてみると、「森一道」という人物はいないという返事だった。驚いた社長は鶴見区に届け出た。

事件の概略

全日空817便は羽田空港から仙台空港に向う短距離航空路であった。同機には乗員7人、乗客173人が搭乗していた。午後6時半に離陸したが、離陸から2分後、東京湾上空を上昇中の機内で男が立ち上がり、客室乗務員にピストル(モデルガンを改造したもの)を突きつけ「燃料が続く限り東京と仙台間を飛べ」などと要求、新聞を読んでいた乗客をピストルで殴打し、その際に拳銃が暴発した。犯人は支離滅裂な会話を客室乗務員に発していたが、運行乗務員は犯人とコンタクトできなかった。しかし、機内で発砲があったことが判明したため、直ちに午後6時44分に緊急着陸した。
犯人は、着陸後何故かトイレに一人で立てこもったため、午後7時15分に捜査員が突入したが、すでに死亡していた。死因は青酸化合物をトイレに入る前に服用したことであると判明し、計画が頓挫したと思い自殺したと判断された。

犯人の背景

男の正体は暴力団員のO(当時26歳)であった。

犯人は指紋の照会で身元が判明したが、殺人未遂・窃盗・傷害・暴力行為で、11回の逮捕歴がある男だった。持ち物のメモには身代金を要求することや、乗客と安西正道全日空社長と身柄を交換することなど、ハイジャックの計画内容が書かれていた。そのため目的は身代金目的であったと推測されるが、犯人が死亡したため犯行理由は定かではない。
同年3月15日には、横浜市鶴見区のメッキ工場から青酸ナトリウムが詐取される事件が発生しており、自殺に使用した青酸化合物との関連性から犯人の遺体との面通しも行われた19日夜、犯人が泊まっていた簡易宿泊所から、メッキ工場から盗んだ青酸ナトリウムの残りと青酸による大量殺人事件が題材の推理小説が発見された。折りしも当時青酸コーラ無差別殺人事件が世間を騒がしており、同年1月4日には2人が犠牲になっていた。
被害者の作業員男性とハイジャック犯人が隣り合わせの簡易宿泊所にいたことや、2月14日に発生した青酸入りチョコレート事件の現場では、付近でハイジャック犯とよく似た男が目撃されたことなどから、なんらかの関連がある可能性もあったが、自殺したため真相は明らかに出来ていない。