日本の実力を照らし出すアジア杯
オシムジャパンはサウジアラビアに負けた。その結果自体は驚くべきことではない。まだ若い急造チームであることは間違いないし、何と言ってもアウェー戦だ。それより驚いたのはサウジアラビアに負けたのが20年ぶり、横山ジャパン以来だということだ。そんなに負けていなかったとは驚きだ。だってサウジアラビアといえばアジアでは絶対の強豪でアジア杯では日本と並んで最多の優勝回数を誇るし、ワールドカップにも四回ぐらい続けて出てるんじゃない?まあいつも勝ち点サプライヤーになっているけど。
ところでアジア杯である。現在最終予選を戦っているわけだが、日本はアジア杯をトルシエ-ジーコと連覇している。しかしあらためて検証してみると内容には大きな違いがある。前回ジーコジャパンのアジア杯では初戦のオマーン戦から際どい戦いが続いた。準々決勝ヨルダン戦、準決勝バーレーン戦と敗戦を覚悟する瀬戸際まで追い詰められながら奇跡的に勝ちを拾い優勝した。我々はそれを日本の底力アップと感じて評価し、世界でも十分に通用すると考えたがワールドカップで押されたのは“日本はアジアレベル”との烙印だった。つまりアジアの中での強豪に間違いないが、ずば抜けているわけでもないことの証明がアジア杯での“青息吐息の”優勝だった。アジア相手には格の違いを見せつけなければ世界では戦えない。サウジアラビアのワールドカップにおける戦いを見ればそれは明白だ。日韓ワールドカップではドイツ戦で記録的な大敗を喫したし、今回だってやっぱり草刈り場だった。
さてトルシエの時はどうだっただろうか。トルシエ下のアジア杯において、サウジアラビアとは初戦であたり4-0と大勝した。この敗戦でサウジアラビアの監督が更迭されたぐらい衝撃的な勝利だった。その後も危なげなく勝ち進んだ日本は決勝で再度サウジアラビアを1-0と下し、優勝した。あの当時はその結果を当然のものだと捉えていた。緒戦の4-0には驚いたが、優勝したといっても韓国とはあたらなかったし、自国開催のワールドカップを控えての圧勝劇にも一次リーグ突破のためにはこれぐらいやってくれないと困ると思っていた。果たして、そのワールドカップで日本は決勝トーナメントに進出したし、ゲーム運びにおいても堂々たるものだった。
オシムジャパンはイエメンをかろうじて破り、アジアカップへの出場を決めた。今のところワールドカップから間もなく仕方のないとは思うが、ジーコジャパンと同等かそれ以下のパフォーマンスである。本来なら2008となるはずのアジア杯が今回は2007。この1年の差がアジア杯に、そしてワールドカップにどういった影響を及ぼすのだろうか。