楊 露禅 は苦労の末、陳氏の武術を学ぶことができた。

陳氏 の拳は 剛と柔 を備え合わせた拳法で(剛柔相済)、陳式太極拳と言えば 一路 の𡘷路を目にすることがが多いが、 二路 の𡘷路は技撃要素が強く、砲捶とも呼ばれる。

 

陳式が実戦的と言われるのは、ゆっくりな動きだけではなく、瞬発的に速く打ち出す二路のような練習体系がある事と、身体を豪快に捻る、纏絲の力を練る為でもある。

他にも相手の力を無力化する化勁、相手の力、気配を聴く練習、聴勁が有名である。

 

※日本では 柔よく剛を制す があまりにも有名だが 剛よく柔を断つ も武術ではよく使われる言葉です。

そもそも、柔と剛 は光と影 のような関係で各々が独立して存在するわけではありません。

 

だが一路はやはりゆっくりと練るのが基本であり、陳式の基礎となる。

楊 露禅 は陳氏の拳法をより柔らかく練った為、綿拳とも呼ばれるほど柔らかい物であった。

 

しかし、武術であるので 楊式太極拳 は綿の中に針を隠すと言われており、一見、柔らかだが、触ればズブリと針で刺される拳であった。(綿の中に針が隠してあることを、綿中蔵針と言います)

 

楊式太極拳は綿のように柔らかく動き、陳式では纏絲と呼ばれた豪快な捻りを 抽絲勁 と呼ばれる非常に繊細な力へと変えていきました。

※抽絲とは蚕の繭をシルクの糸にする時に繊維一本、一本を切れないように螺旋を掛けながら紡ぐような力と言われています。

引っ張りすぎれば、繊維はすぐに切れてしまいますが、力を入れなければ、弛んでしまう、非常に繊細な力が抽絲勁です。

 

そして、楊 露禅 は相手の力や気配を感じる感覚(聴勁)に非常に優れていました。

手の掌に小鳥を乗せ、小鳥が掌を蹴って飛び立とうとする瞬間の力を察知できたと言われています。

小鳥は飛び立つ為、蹴ったつもりだが 楊 露禅 がその力を察知して掌を下に下げる為、いつまでたっても飛び立てなかったと言われています。

 

そのような非常に繊細で優れた感覚を有し、柔らかいが触れば確実に針で刺される。

北京で、その実力は実戦で十分発揮され 楊 露禅 にかなう者が誰一人いなかった為、人々からは 楊無敵 と呼ばれるようになります。

 

楊式の太極拳は一見して激しさが見えないため、中国の貴族、高官など普段は運動したことが無い人々に好まれ、気功的な要素が高まっていきました。

 

しかし、楊 露禅 が当時練っていた架式と、現在の架式は違うと言われており、楊 露禅 が練っていた𡘷路は?だと言われています。

今、楊式と呼ばれる𡘷路は 楊 露禅 の子孫が整理した物だと言われています。

楊 露禅 の練っていた架式は小架ではなかったかと言われています。

 

こうした事からも、楊式には一般に流布したものと、時代によってこういった物があるよ的に いろいろな 楊式 が見られます。

私は太極拳については、全く詳しくないので、楊式に関してはこれぐらいに留めておきます。

 

以下、時代により色々ある、楊式の動画を貼っておきます。

 

 

府内派

 

 

老六路

 

楊家秘伝太極拳

 

太極拳のシリーズはまだまだ続く、そして次はようやく Mr.太極拳 へ