五日目

 

昨日の瞑想体験があまりにも強烈で、印象的であった。

身体と心で体験したことは忘れようにも忘れようがない。

その感覚は朝起きた瞬間にまだ残ってた。

 

今回は5日間のコースだが、少しもぬけの殻のような気分だ。

昨日、これほどの充実感があるのかと言う経験をしてしまった為、本日は望みや、目標などは無くなってしまった。

新幹線代を払い、ホテル代を払い、講習料を払い参加しているが、今日はたとえ得られるものが無くても十分満足である。

昨日の体験はそれほど強烈な物であった。

 

しかし、教室に行く時間である。

通い慣れた日比谷線に乗り、有楽町線に乗り換える。

いつもの景色だ、いつもの・・・

しかし昨日の朝と、景色の感じ方が変わっている。

景色は何も変わっていない、自分が変わったんだ。

 

とても穏やかな、気持ちで教室に到着する。

今日は昨日ほどの穏やかな気持ちにはなれないだろう。

しかし、そんなことは既にどうでもよくなってしまっている。

こんな日が続いてくれれば・・・ 

心の底からそう思う。

 

今日も講習は受講する、その経過だけは書いておこう。

 

午前も 蠕動 から始まる。

禅密気功の築基功は、本当に大切な功法である。

本当に大切とは、本当に大切と言う事だ。

いつもどおり、丁寧に大きく動き、筋をしっかりと伸ばす。

瞑想に入った時に滞りの無いように入念に身体を調整する。

 

気の瞑想に入る。

蠕動 で構築した身体に気を充填させていく。

丹田に気を落とす。

今日も明確な感覚があるが、動かずじっとしていたい。

じっとしていると、気感が満ちてくる。

かなり強烈な気感があり、徐々に気の圧力が上がってくるような感じがする。

一人で殻に閉じこもったようで非常に静かだ。

あー静かだなー、と感覚に浸っていた、それ以外の事は忘れてしまった。

先生から 心の瞑想 に入りますと声が掛かる。

気づくと知らない間に30分が経過していた。

気の瞑想で構築した気感を心の瞑想に引き継ぐ。

蠕動→気の瞑想→心の瞑想は 一連の流れを持っている。

上手に繋げたい。

 

心の瞑想に入る

重厚な感覚がそぎ落とされていく、禅は捨てる文化だと聞いたことがある。

こういった感覚に浸ると、捨てる事によって、初めて得られる物があると知ることができた。

余計な物を持ってしまっている事は、決して幸せとは言えないんでないだろうか。

漠然とそう感じる。

そして、穏やかで、落ち着いていて、心地よい感覚のみが残っていく。

身体の芯に何かが染み込んだような感覚がある。

しかし、昨日の感覚までは達しなかった。

それでも私は十分満足だ。

昨日の感覚には達しなかったが何故満足なのか?

それは満足だからだ、満足とは満足している事なので、それ以上の説明は無理だ。

 

昼ご飯は先生と中華に行く。

伝統の継承についての話になった。

私が好きな言葉に 伝統とは変化の連続である と言う言葉がある。

ある伝統を継ぐ方が 伝統を守ろうなんてトンでもない、常にチャレンジして常に見直し、吟味していないと、あっと言う間に伝統などと言う物は吹き飛ぶ、胡坐をかいている暇などないと 強烈な事を言って見えたのを記憶している。

 

伝統も最初は最新であったはずである。

しかし、権威と歴史という化け物を身にまとい、人を魅了する。

 

大切なのは今の世の中でどのような価値が証明できるのか。

とても大切な事であると思う。

時が流れると 以前は正しいとされていたことが 間違いであった と言うことが良くある。

そういった事実を素直に認め、修正していく。

それが本当の伝統だと思う。

そして修正され、時を積み重ねた時に、英知が蓄積され普遍へと近づいていく。

本当に良いものは美しく、シンプルであるとよく言う。

それはエッセンスのみが残り、無駄な物がそぎ落とされたからなんだと思う。

 

シンプルな事を続けるのが遠回りに見えて、一番の近道ですよ。

シンプルな物を地道に続けるからこそ、深みに達する事ができるのですよ。

朱剛先生がポソリと言われる言葉が心に突き刺さる。

その言葉の意味が今は頭でなく、心と身体で理解できる。

昼食の短い会話だが、決して忘れることはないだろう。

 

午後から第一回戦、蠕動→気の瞑想から、心の瞑想に入る。

心の瞑想では時間感覚が早い段階で喪失する。

一瞬で30分、よくある現象である。

決して寝てはいない。

 

心の瞑想では午前中と同程度の感覚が得られる。

しかし、人間欲が出る。

もう少しああしてやろう、こうしてやろう、余分な意識が入り込む。

今、そしてここに、ただ座っていたら得られたろうに、少しの心の揺れが大切な物の感覚を濁してしまう。

しかし、最後の最後に中々の感覚が出た。

 

午後第二回線

蠕動→気の瞑想から、心の瞑想。

今日は少し気が抜けてしまったのかもしれない。

集中力に少し欠けたかもしれない。

それでも十分な充実感が得られ、最後の最後に良い感覚が出た。

 

今回5日間を通して、二度と忘れないだろう強烈な体験をした。

 

今後の事は分からない、しかし今回の体験の記憶を大切にしたい。

これからも練習は続くが、とりあえず今回の瞑想会は終了である。

 

今回の体験を生活に融合していく事で今後、何らかの影響を与えていくと思う。

どんどん普通になっていく、それが私の目標である。

今回の瞑想で少し 普通に 近づけたかな?

 

では、また次回の瞑想会で。

 

続く