小学5、6年生の時の話だ。
私は自転車に乗って、気持ちよく新緑の町を走っていた。
緑がキラキラして、空も美しかった。
でも、自転車に乗って進んでいるとき、突然、バーンとまるで薄い
弾幕が降りたみたいに見えている世界が一瞬で変わった。
見ている世界が全く変わってしまった。
薄いフィルターがかかったような別世界に移動してしまったような違和感。
それも突然。
おかしい……。
緑の色が違う。
空の色が輝いて見えない。
すごくショックだった。
見るもの全ての色彩が、風景が全くの異次元に変わってしまった。
いつもの道が風景が、突然見たこともない世界に変わってしまった。
その日は逃げるようにお布団に潜り込んでいつもより早く寝た。
これは夢で、きっと目覚めたらまたあのきれいな元の世界を見ることが出来ると信じていた。
だけど、翌日のその翌日も、世界はまるでフィルターがかかってしまったみたいに別の世界になってしまった。
私はショックのあまり毎日、以前のように見えるようになりたいと泣いていた。
でも、それも1週間、1年、3年、5年、10年、数十年と経つうちにこの世界に慣れてしまった。
もう二度とあの世界は観れないんだと思うと、今でも切ない。
夫や子供にそんな体験を話したけど、そういう経験をしたことがないと二人とも言う。
みんなが経験すると思っていたから、すごく不思議だし、ショックだった。
私は今も相変わらず違う風景の世界にいる。
もう一度、昔のような世界に戻りたいと思うけど、さすがに年月も経ち過ぎたし、きっと無理だろうと思う。
せめて私のような体験をしたことがある人がいたら、色々話してみたい、聞いてみたいと思う。