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少年時代の僕は、一人でプロ野球を見に行った。
とにかく一人で行動するのが、当たり前だった。

1973年に金田正一がロッテ・オリオンズの監督になって、
僕はオリオンズのファンになっていた。

1974年、オリオンズが日本一になった年だと思う。
当時のオリオンズはジプシー球団と言われ、
本拠地球場がないような球団だった。

だから、僕が見に行ったことを記憶しているゲームは、
神宮球場で日本ハム戦だったように思う。
デーゲームだった。

僕は球場に入場する前に球場を
ぐるりと歩いて見て回っていた。
すると窓が空いている部屋の中にいたのだ、
金田正一監督が。
目が合った。
吸い寄せられるように、窓に近づいた。

「坊や、野球見に来たんか?」

金田監督から声をかけられたのだ。
のぼせてしまって声を出せずに、ただ頷いた。

たった一人の少年に気さくに声をかけてくれる
金田正一監督の大きなサービス精神に感動した。

それ以来、僕はずっと、オリオンズ、
そして今は千葉ロッテマリーンズを、応援している。



プロ野球選手の年俸はウナギ登りである。
複数年契約で何十億という例だってある。

それだけの価値がある、ということなのだろう。

すぐれた技術、すばらしいプレーは、観客を呼べる。

ファンに、喜びや興奮、感動を与えられる存在なのだ。



僕はプロ野球選手ではないけれど、
何億もの年俸を取れるような存在になりたい、
そう本気で思っている。

だとしたら。

プロ野球選手が持っている才能や、
ハードトレーニングを積み重ねるプロ根性が、
自分に備わっているかを自問自答しなければならない。

それが、自分への戒めとならなけりゃいけない。


金田正一の教えを忘れずに心に刻むとしよう。