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アーバンギャルドの堕落論

おはようございます。或いは、おやすみなさい。松永天馬です。
暗くなったリビングでノートのキーを叩いています。
目の前にあるテレビでは、男が妙なシュプレヒコールを繰り返しているところです。


http://www.youtube.com/watch?v=qgSZVG0Spy0


彼とは昔、何処かで会ったような。鏡の国で?いや、気のせいでしょう。

世の中では今日も様々な事件が起こっています。
先々月この国を襲い、今も進行中であるところの災害に関しては、驚くべきニュースが絶えません。
東京電力は我々がいぶかしんでいた福島第一原発のメルトダウンを、ようやく、しかも三機同時に、認めました。
また芸能の世界ではアイドルが自ら命を絶ち、いっぽうで国内有史最大額の強盗事件が発生している。
段々と老い、過去への追憶を美徳とし始めたこの国は、ここに来てより一層狂騒状態となっており、我々はなす術もありません。
これこそリアルタイムウェブ時代とでも言うのでしょうか。
日々毎分毎秒世界が更新され、認識するのが精一杯といった体です。

ここ数ヶ月静かに変化しつつある非日常を前に、僕自身、自分の生について、生き方について問い直すことが多くなりました。
今が今今今と断続的に切り替わっていくなかで、生が現在進行形として認識されるようになった。
漠然としていた「将来」や「未来」の像が、現在いまこの場所から続いていくものであると、リアルに確認することができた。
これまでは漠然と「あした地震がおこったら」などと思っていたことが現実に起き、しかも今後もずっと身近な恐怖として(それこそ、放射能のように)感じられるようになりました。
ただそれは、一概に絶望と言えるようなものでもない。
例えば「もし『あした地震がおこった』としてもどうにか切り抜けよう」という気持ちも、同時に呼び起こしています。
この国にあった「茫漠とした不安」が、ここに来て「完全に露出」したわけです(燃料棒のようにね)。
なんとか若作りしてきた国の化粧が、いっぺんに剥がれ落ちてしまった。
しかしそれを目の前にしてしまうと、何故でしょう。逆に焚きつけられるような。
落ちるところまで落ちて、逆に希望に変わるような。

希望は「かすかなのぞみ」と書きます。

坂口安吾は戦後、国が没落した状況下で「堕落論」を書きました。
これは単なるデカダンのススメではありません。
また、退廃的ナルシシズムを賛美する類いの本でもない。
堕ちて堕ちて堕ちきることで、逆に「自分自身を発見し、救う」と書いた、希望の書であります。

現在の日本を「戦後」或いは「戦中」などになぞらえることは必ずしも適当ではありませんが、僕はまさしく、いまこの国は「堕ちぬいた」先を見つける時期に来ているように思う。
それはJALや東電といった大型事業から、相撲や歌舞伎といった伝統文化、レコードやテレビなどの大衆芸能、出版、教育など、この国の大小さまざまなコミュニティにおいても言えることです。
この大転換期に、我々はどんな風にジャンプするか。
パラダイム・シフトと呼んでも、時代がかって「革命」と呼んでもいいが、どのようにそれを行為するか。
我々のような音楽業界の末端にいる人間でも「変わる」ことの必要性を感じずにはいられない今日このごろです。



テレビに映った男が叫び、彼の放送が終わりを告げました。
カラーバーの虹が、今にもこぼれ落ちそう。
僕も明日に備え、そろそろ眠りにつこうと思います。朝ですが。


明日のライヴでは、アーバンギャルドが都市の子宮から華麗にジャンプします。
恋が揺れてここで墜落しても、笑って許してね。

■アーバンギャルドの独立宣言 '11.05.15

5/15 17:30~配信

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