2013年総括:夜明け前の備忘録、揮発してしまう涙や暗闇に溶けてしまう一瞬の光 | アーバンギャルド・オフィシャルブログ URBANGARDE OFFICIAL BLOG Powered by Ameba

2013年総括:夜明け前の備忘録、揮発してしまう涙や暗闇に溶けてしまう一瞬の光




新アーティスト写真。
容子はサロメだ。掲げた首は少女の首だ。お前やあいつや殉教者の首だ。


今年はカウントダウンイベントもなく、例年以上に穏やかな年末を迎えられそうなので今年のまとめを記しておこうと思う。というわけでは決してなく、頭の中は例年以上に戦争状態、というのも制作期間に突入しているからなのだが「これまでのあらすじ」を読み返さないと続編に没頭できないように「これまでのアーバンギャルド」をアーカイヴしないと新作に着手できない。という性分なので、今年も終わる事だし今年出演したライヴ及びイベントを総括してみようと思う。いっぽうではホームページもリニューアルし、アーティスト写真もアップデートしているここ数日。人からは「何故新作に着手しないで過去の整理ばかりしているの?」と問われてしまいそうだが、試験勉強をするために部屋の掃除から始める奴っているでしょう。僕はきっとそのタイプなんです。新作のアルバムタイトルや曲目を決める時も(僕は曲のサウンドではなくタイトルから入る。企画書を書いて作品をつくる代理店気質な野郎なんです)過去のタイトルを全て手で書き出してみると自然に次に書くべきものが分かる。そういうタイプなんで、これは新作を書くための文体練習だと思って下さい。脳内大掃除だと思って下さい。戦場にこびりついた血を拭き取り、散らばった肉片を拾い集め、捏ね回し、新たなフランケンシュタイン・ガールを制作するための、覚え書き。備忘録。全て忘れるために文字に遺す、自分と過去を切り離すために。そんなところの。



【バンド】
0120 初春音演会@心斎橋JANUS
0121 Guidance~導き導かれる人生~@渋谷O-EAST
0209 FACTORY@お台場フジテレビ
0211 7DAYS☆失神天国@渋谷ミルキーウェイ
0227 HARAJUKU “GURO” KAWAii!!@渋谷2.5D
0309 大卍絵巻2013@代々木Zher the ZOO
0315 VIVIVI@渋谷クラブエイジア
0316 鬱だ一番!アーバンギャルドまつり2013@名古屋クラブクアトロ
0317 鬱だ一番!アーバンギャルドまつり2013@梅田クラブクアトロ
0323 鬱だ一番!アーバンギャルドまつり2013@渋谷クラブクアトロ
0324 鬱だ一番!アーバンギャルドまつり2013@渋谷クラブクアトロ
0420 鬱だ一番!アーバンギャルドまつり~いつ病むの?今でしょ!アンコール~@渋谷クラブクアトロ
0517 Daikanyama ExPoP@代官山LOOP
0524 恋と革命とキメラとバンドじゃないもん!@渋谷O-EAST
0614 恋と革命と2.5D第一夜 アーバンギャルドカルトQ@渋谷2.5D
0615 恋と革命と2.5D第二夜 浜崎容子、アーバンギャルドを歌う@渋谷2.5D
0618 松永天馬、アーバンギャルドを語る@原宿ニコニコ本社
0619 アーバンギャルドの公開処刑7@池袋新星堂
0620 アーバンギャルドの公開処刑8@タワーレコード渋谷CUTUP STUDIO
0622 やついフェス@渋谷クラブエイジア
0623 アーバンギャルドの公開処刑8@タワーレコード難波
0623 アーバンギャルドの公開処刑8@タワーレコード名古屋近鉄パッセ
0707 JAPAN EXPO@フランス・パリ・ノール ヴィルパント展示会会場
0714 恋と革命ツアー@新横浜NEW SIDE BEACH!
0718 恋と革命ツアー@千葉LOOK
0720 恋と革命ツアー@盛岡Club Change
0721 恋と革命ツアー@仙台Live House PARK SQUARE
0723 恋と革命ツアー@郡山CLUB #9
0724 恋と革命ツアー@八戸ROXX
0727 JOIN ALINE@北海道いわみざわ公園
0730 恋と革命ツアー@水戸ライトハウス
0807 GIRLS FACTORY13@国立代々木競技場第一体育館
0812 恋と革命ツアー@広島ナミキジャンクション
0813 恋と革命ツアー@福岡DRUM SON
0814 恋と革命ツアー@熊本DRUM Be-9V2
0816 恋と革命ツアー@高松DIME
0818 聖地じゅんれい!@豊郷小学校旧校舎
0821 恋と革命ツアー@新潟CLUB RIVERST
0822 恋と革命ツアー@金沢vanvan V4
0824 DINOSONIC@勝山市民会館
0830 恋と革命ツアー@名古屋APOLLO THEATER
0831 恋と革命ツアー@難波ROCKETS
0906 恋と革命ツアー@札幌Sound Lab mole
0912 恋と革命ツアー@渋谷O-WEST
0916 恋と革命ツアー追加公演@渋谷O-EAST
1019 筋肉少女帯vsアーバンギャルド@赤坂ブリッツ
1102 恋と革命とハロウィンNOMIKAI@阿佐ヶ谷ロフトA
1103 多摩美術大学造形表現学部芸術祭ライブ 2013@多摩美術大学上野毛キャンパス
1104 JAPAN POP CULTURE CARNIVAL 2013@松戸森のホール
1202 スクールカーストツアー@梅田クラブクアトロ
1203 スクールカーストツアー@名古屋クラブクアトロ
1217 スクールカーストツアー@渋谷クラブクアトロ



【ソロ出演】
0306 はるポニ!~春のアイドル スペシャル~@渋谷2.5D(トーク)
0602 Japan Must Go On@東新宿KDXホールA(トーク)
0630 航空電子presents【帰還のプロセス】@新宿モーション(ゲスト歌唱)
0713 ポエトリーリーディング in サブカルチャー@東中野ポレポレ座(トーク&朗読)
0803 たんきゅんの夏期講習~みんなで14歳~@渋谷アップリンク(講演)
1004 さいかち展「プロフェッショナルラウンジ」@神田東京デザイナー学院(講演)
1106 ぐしゃ人間10執念サブカル×アニメナイト@新宿ロフトプラスワン(トーク)
1116 すこしふしぎフェス2013@六本木スーパーデラックス(トーク&朗読)
1124 二次元×ファッションパーティー@原宿ラフォーレミュージアム(トーク)
1208 浜崎容子の秘密のクローゼット~Vol.1お茶会編(トーク)
1214 ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー生誕50周年 ・ナゴムレコード30周年&新生記念@新宿ロフト(ゲスト歌唱)



以上、バンドとしてのライヴ及びイベント出演が52本、ソロが11本。これがいわゆるバンドとして多いのか少ないのかはよく分からないけれど(アイドルに比べたら恐らく少ない。アイドルは極端な話出演者とiPODひとつあればどのステージにも立てるのが魅力で、その機動力の高さが現代のメディアのスピードにも併走出来ている気がする)アーバンギャルドの短くない歴史において、過去最高数であったことは言うまでもない。地方遠征も例年以上に多かった。十六都道府県をマークした恋と革命ツアーを筆頭に、全国各地へ飛び回った気がする。一か所だけだが海外にも…夢にまで見たJAPAN EXPOにも行った。リリースがベスト盤だけだったというのも理由に挙げられるだろう。制作の時間が少なかった分、アウトプットは充実した。結果、バンドの形が変型してしまうまでに。


松永天馬個人の仕事も年頭から増えてきた。小説や散文詩を書き始めたことも無関係ではないだろう。歴史ある文芸誌からお話を頂き、アーバンギャルドという肩書抜きで(とはいえその名刺があってお話を貰えたわけだから、ハンディキャップが無かったとは決して思わない。ハンディキャップを頼りにし過ぎては、いずれ時代の流れに潰されざるを得ないが)作品を世に問えた経験はイベント出演にも生きたと思う。上にも書いたが私はグループアイドルの機動力の高さに嫉妬している。バンドは…バンドにもよるだろうが、アーバンギャルドというバンドは…楽器や音響スタッフといったステージ周りの大所帯さが売りだと考えているので、松永天馬ソロはその対極、出前感覚で何処にでも出張、何でもやるスタンスでいきたいと考えている。今月出演したナゴムのイベントは直接顔を出してケラさんに出して下さいとお願いし、次の週の朝に依頼を受け、その日の夜にはイベントに出演していた。このスピード感が今の時代に求められている。だからそれは、やれるところでやる。


バンドはバンドで、バンドにしか出来ないことをやるつもりだ。恋と革命ツアーは過去最多会場となり、悩み多きツアーだった。ここでは書けないようなこともいっぱい起きた。メンバーとは時に仲違いし、ステージ上でそれが破綻のかたちとなって現れることがあれば、演奏を通して修復することもあった。修復できない関係もあった。メンバー一人一人がツアー中、辛い時期を経験した。僕も恐らくバンドをスタートさせてから初めて、自分のパフォーマンスについて深く悩んだ。ちょうど夏の同じ時期に九十年代に一世を風靡したバンド、イエローモンキーのドキュメント映画『パンドラ』が上映されていたように思う。パンチドランカードツアーと題された113本の長い長いツアーを終えてイエモンは心身ともに疲弊し解散を余儀なくされた。そのツアーの顛末を追ったドキュメントであったと記憶するが、数は遠く及ばないまでもパンチドランカードツアーの縮小版を自分たちのツアーでやってしまった感じ。ここまで話しておきながら肝心の映画は見ていないのだが(!)僕の『パンドラ』が夏の恋と革命ツアーであり、アーバンギャルドはライヴバンドになろうとしたとき(比喩でなく)パンドラの箱を開けてしまった。一度壊れ、復活した。復活したとまだ信じられない人は、是非次のライヴに来て欲しい。十二月の東名阪ツアーでは、キリストの復活を信じない使徒たちを捻じ伏せるような徹底的強度を心がけた。もうやれないとファンたちの間で囁かれていた『都市は優しい』をリニューアルして壇上にのせ、再現性の悪さからこれまでライヴでやるのを躊躇してきた『オペラ・オペラシオネル』や『リボン運動』などの楽曲を積極的にセットリストに取り入れた。この破壊と創造のプロセスはバンドにしか出来ないことだと思っている。グループ・アイドルのようにプロジェクトとして大人の手が入っているものではなく、よくも悪くも「我々」しかいない状況だったから出来たことだと信じている。


さて、来年だ。来春のワンマンまで、アーバンギャルドはライヴ活動を停止する。これは震災によってライヴ出演を遅延された2011年以来の長さになるだろう。震災を挟んだ数か月で我々はメジャーデビューを発表し、ドラムス鍵山喬一を仲間に加え、劇的にバンド化した。今回どのような進化があるのかは、やはりあなたの目で確かめて欲しいという他ない。


時代はいつだって外側から語られる。アーバンギャルドについて論じる多くの人がライヴで徹底的瞬間を目撃することが叶わないように、現場の空気は結局外には伝わらない。多くは文字に遺されず、電波にだって乗らない。だけどパッケージされない熱を、揮発してしまう涙や暗闇に溶けてしまう一瞬の光を現前させるのが表現者としての生業だといつも考えている。アーバンギャルドは今がいっとう面白い。目撃できるものなら目撃せよ。ついて来れるならついて来なさい。我々が散り散りバラバラになってしまうまで。地獄まで。
また来年お会いしましょう。キスと、キスと、キスを。



2013年末(邦楽史に照らし合わせてみても、その頃バンドは衰退していた)
松永天馬
夜明け前に。