助産師。

妊婦さんに関わる助産師だと、みんな、多分ほぼみんな・・願うんじゃないかな。目の前の妊婦さんが、良いお産になりますようにって。

 

外来で働くようになってから、大体毎日帰り際にふと朝一に破水診察した患者さんの記録を見てから帰る。

 

こちらの国では、破水をクスコで視診→診断、CTGやエコーで頭位確認、感染兆候なし、初産なら48時間以内・経産婦なら24時間以内の誘発分娩の予約を入れて帰宅させます。日本で働いてた7~8年前は、破水は全員入院管理だったので・・今はどうだろう(?_?)最初は破水後自宅待機ひええええって感じたけど、今はまあなるもんだなという感覚。

 

話を戻すと、破水した患者さんに朝一で出会って。

私の終業時間までの6~7時間に進行があったかな、どうかなと思って記録を見る。そしてそっとお願いする、良いお産になりますようにって。

 

今朝、私と同い年くらい・・だから今年40歳、初産、破水で外来に来た妊婦さんがいた。

診察前にこれからすることを説明してたら、最後の誘発分娩予約というステップの部分で顔色が曇ったのが見えた。

妊婦さん、担当助産師に伝えないと・・とか何とか言ってるのが聞こえる。ピンとこない私。

ささっとIDと記録チェックをしてたら、顔色の理由が分かった。記録には書かれてた。

 

自宅出産希望。そして、自宅出産担当助産師も決まっていた。

 

病院側のガイドライン(48時間以内の誘発分娩・病院出産)と妊婦さんの希望(自宅出産)。

 

一人の助産師として思い、願うことは。

無事に産まれてほしい。良いお産であってほしい。

 

妊婦さんの気持ちもわかる。

自分の身体、自分の出産への計画と選択。選択肢はあるべきだし、選ぶのも妊婦さんであるべきかもしれない。選べないお腹の子の権利は、という問いは今ここでは深めないとする。

 

自宅出産について大きなニュースが取り上げられる背景も重なって、私自身の気持ちは複雑だった。

 

そして、病院での出産だって良い出産ばかりでない事も多々ある。不測の事態も含めて様々ある。希望に反して誘発分娩になったから、無事に産まれるとも限らない。だけど、いつもスキャンダルは全体の一ミリだけを切り取って、誰かを悪者にしたいかのように書く。今回のニュースも、まだ見出しに過ぎない報道しかされていないのに助産院で関わった助産師が事故を招いたかの様な印象が与えられる。この件は、詳細が発表されてから更に議論されるべきだと思う。

 

少し脱線しそうだけど、たまたま、ニュースと今朝の出来事がピタンと折り重なった。

 

どうか、自然な陣痛が来ますようと言いつつ。でも、陣痛が来なくてもこの予約時間に来てください。医師と会って出産計画を話し合ってくださいと伝えた。そして自宅出産担当助産師にここでの検査や話を伝えてくださいとも伝えた。妊婦さんは笑顔で帰って行った。今日の、私の帰り際、記録上の更新はなかったので私は願うだけで帰った。

 

自宅出産を希望して、自宅で子癇発作、病院へ緊急搬送された妊婦さんもいる。

妊娠後期から妊娠高血圧症候群が疑われ、指摘されて医師の診察も勧められたのに。リスク承知ですと断って陣発、その後・・という形だが、無事に産まれてくれた。産後の彼女は、生死を彷徨う経験をしながら幸せそうな表情で授乳してた。お産そのものが良かったかは分からないけど、すべてを受け入れていた雰囲気だった。

 

でも、もし赤ちゃんが亡くなっていたら、この女性が命を落としていたら。

残された家族はどうだっただろうか。妊婦さんの自宅出産を支持し続けた彼は結果に納得したか、自分なりの解釈を見出していたのだろうか。

 

人それぞれ、良い、の基準は違う。

 

こちらが良かれと思っても、相手はそう思わないことばかりで。

それでも決められたルールに従って働くのは私で、相手が嫌がっても時にはエビデンスや医師の指示を盾に業務をする。変だなって思うけど・・リスクを一人で背負えない私はそうする。心では願いがありながら。。。

 

女性の年齢が高齢化するに伴い、思考の成熟度も高まる。この妊娠出産が最後かもと思う程、神秘性やスピリチュアルな考え方に傾く場合もあるかもしれない。その考え方によって気持ちよく母子が妊娠出産を迎えられれば何もいう事はない。だけども、この界隈で働きながら感じることがある。20代前半の子の出産なんて滅多に先進国でないけど、彼女たちの二倍長く生きた身体の欠点は衰えだと思う。20年追加で生きた人たちは、妊娠そのものが細胞レベルで難しいってことは、身体が出産に難が付く可能性があることを示してると思う。

 

疲れた。

明日はおやすみだ。