「POWER」は、露骨に世の中の弱いものたちに向けて革命を促す曲である。何に対する革命なのか? それは正義のない、お金の前にひざまずく世界、力あるものの影で弱いものが死んでゆく世界を指す。歌詞ではこのような世界に屈することなく立ち向かっていこうと伝えているが、このような判断の根底には「We got the power./I got the power」という確信がある。力は単に“金、権力、名誉”だけにあるものではないと歌っているのである。パワフルなロックサウンド、悲壮感を漂わせながらも冷笑的なバン・ヨングクの重厚なラップ、挑戦的で戦闘的なゼロの切れの良いラップが魅力的である。
「What The Hell」は現実を支配している不公平で間違っているシステムに対する憤りを表現した曲である。やけになって「見えない手」に向かって「そのまま返してやる」「死んでも返してやる」と叫ぶようになった理由は、もっぱらそれだけが生き残る道だという痛切な自覚があるためである。「No way」「May day」を叫んでいた壊れやすい心が「What the hell you do」のような決起に変わる瞬間を捉えたリフレイン(繰り返す部分)、全般的に悲しみや激しさが共存するサウンドが印象に残る。
今回のアルバムで注目される部分は「POWER」と「What The Hell」の2曲に表現されている社会観である。この曲の中で“世界は正義のないところ”として描かれている。
なぜなら、そこはいわゆる奪う者と奪われる者の“ロール(役割)”が変わらない、力が支配する場所(「Power」)であり、また「金」が「善悪を分けて」「見えない手があなたを勝手に動かす」場所(「What The Hell」)であるためである。問題は、このような真実が「多くの沈黙」や「無関心」によって放置されていること。自然と2曲のメッセージは戦意を呼び起こし、偽りのモノに向かって「嘘だ」と叫ぶことで、真実の声が広がるように立ち向かおうと訴えることになる。