GISTの病理検査などについて調べると、必ず遭遇するのが『KIT蛋白』というもの。
間葉系腫瘍の中にKIT蛋白があれば、GISTと診断が可能である。そして、GISTの約90%のKIT蛋白の発現が見られるらしい。

さて、そのKIT蛋白とは何なのだろう。。と思って調べても、もともと素養が足りない私なんかがちょっと検索しても、なかなかわからない。「c-kit遺伝子とは、KITというたんぱくの設計図にあたる遺伝子。c-kit遺伝子が突然変異し、異常なKITたんぱくが作られ、細胞が異常に増殖してGISTが引き起こされます」という記述を読んで、「ああそうか。わかった。」とはなかなか言えない。

簡単にはわからないことを前提に、とりあえず調べたことを書いておこうと思う。

<c-kit/CD117>
(チロシンリン酸化酵素)
・幹細胞因子受容体
・造血幹細胞因子受容体
・血小板由来成長因子受容体サブファミリーに属するⅢ型受容体チロシンキナージ
 (RTK,Receptor tyrosine kinase)
・がん原遺伝子産物

→c-kit/CD117の変異やがんの増殖や進行を評価するのに重要
→c-kit/CD117が関与するもの
     ・肥満細胞症
       肥満細胞が肌の様々なところに蓄積して皮膚に塊を作る。全身性肥満細胞症:胃、腸、骨、肝臓、リンパ腺にも蓄積。
     ・GIST
     ・急性骨髄性白血病
     ・ユーイング肉腫
       主として小児や若年者の骨、まれに軟部組織に発生する肉腫
     ・肺がん

<造血幹細胞とは>血液中の血球(白血球、赤血球、血小板)を作り出す種の細胞のこと
                   血球は骨髄で作られる
  →細胞表面にCD34と呼ばれる特有の抗原が出ている
  →造血幹細胞≒CD34陽性細胞
    CD34陽性細胞の中に造血幹細胞が存在していると考えられている

<CDってなんだ?→CD分類とは>
Wikipediaより抜粋
「CD分類(シーディーぶんるい)とは、ヒト白血球を主としたさまざまな細胞表面に存在する分子(表面抗原)に結合するモノクローナル抗体の国際分類。白血球やその他の細胞は、細胞表面に糖タンパクなどでできたさまざまな分子を発現しており、この分子の違いを見分けることで細かい細胞の違いを識別することができる。これらの分子は、モノクローナル抗体が結合する抗原として識別することができ、表面抗原あるいは表面マーカーと呼ばれる。しかし、異なったモノクローナル抗体が同じ表面抗原に結合することがあるため、混乱が生じることがある。そこで、同じ表面抗原を認識する抗体群を、同じ番号(と記号)で国際的に統一して分類したものがこのCD分類である。CD分類でつけられた番号(と記号)をCD番号とよぶ。CD分類は本来はモノクローナル抗体の分類であるが、モノクローナル抗体が認識する表面抗原の名称にも用いられる(CD抗原またはCD分子)。これらCD抗原には細胞の機能や分化に関わる分子が含まれる。CDとは、cluster
of differentiation
の頭文字で、訳すと「分化抗原群」であり、白血球分化に関わる抗原分子に対するモノクローナル抗体をクラスタ解析(群解析)で分類したことから名付けられた[1]。
CD分類は1982年にパリで開かれた第1回ヒト白血球分化抗原に関する国際ワークショップ[2]でCD1〜CD15の15種類が決定されたのに始まり、2007年1月現在までに9回のワークショップを通じてCD350までが決定されている[3]。」
{A36E2E15-3A50-4DB8-B470-672E173DB42A}

https://www.bc-cytometry.com/Data/cytoinfo/CDchart_abb.html
CD分類一覧表

CD34の記述にしばしば当たっていたが、HIVのCD4と関係あるのか?ということがすっきりしていなかった。全面的にわかった訳ではないが、少しずつ見えてきた。どちらも血液の中の抗原の話ということか。やや了解。

そして、GISTの薬物療法にいわゆる抗がん剤ではなく、慢性白血病の薬を使うということが、わかった。それでもわからないことがまだまだたくさん。