確定申告(株・信託) | 川口市 草加市の税理士/相続税・遺言・成年後見ブログ 

確定申告(株・信託)

1.株売却時の税金のあらまし 

株を売却した場合の税金のポイント
1. 平成23年12月まで 売却時の税率が、上場株と未公開株とで異なる
2. 所得税・住民税=(株譲渡収入-株購入代価等-売却手数料等)×税率
3. 株譲渡収入×5%を 株購入代価とすることができる
4. 株譲渡損失は 原則 他の所得と損益通算できない


譲渡所得の確定申告が必要なケース
1. 証券会社の一般口座で売却した場合
2. 証券会社の特定口座(源泉徴収なし)で売却した場合
3. 証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で売却した場合で還付を受けるとき
4. 証券会社を経由しないで売却した場合
5. 未公開株を売却した場合


上場株を売却した場合の税金(大口株主以外)
1. 平成23年12月までの税率は所得税7% 住民税3%(平成24年1月から所得税15% 住民税5%)
2. 平成13年9月以前に取得した上場株を売却した場合 『平成13年10月1日の終値の80%』を 株購入代価とすることができる
3. 上場株の譲渡損は翌年以降3年間 株譲渡所得金額から繰越控除できる
4. 上場株の譲渡損は 上場株の配当所得と損益通算可(平成22年から特定口座源泉有で確定申告不要)


2.金融資産の売買益の税金

売買益に係る税金のあらまし 
1. 売買益は 確定申告する金融資産と 源泉徴収されて完結する金融資産がある
2. 確定申告する金融資産の税金は総合課税(所得税率5%~40%)と申告分離課税(所得税率15%)がある


ゴルフ会員権・書画骨董の売買益に係る税金
1. 原則 総合課税(売買損は 他の所得と損益通算可)
2. 所得税=(売買益-最大50万円)×5%~40%
3. 取得日以降5年超の売買益は 上記の1/2
4. ゴルフ場が倒産した場合の売却損は損益通算不可


公社債の譲渡・期中分配金・償還差益に係る税金
1. 公社債・公社債投資信託受益権の譲渡益は非課税
2. 公社債投資信託の期中分配金は源泉徴収
3. 利付債の償還差益は総合課税、利子は源泉徴収
4. 割引債の償還差益は源泉課税(税率18%など)
5. 国外で発行され国内で取引した割引債(ゼロクーポン債)の譲渡益・償還差益は 総合課税
6. 新株予約権付社債の譲渡益は分離課税、利子は源泉徴収、償還差益は総合課税 


株式先物取引の差益に係る税金
1. 反対売買による決済差益は雑所得など分離課税
2. 株式の受渡しによる精算差益は総合課税(雑所得など)



3.ストックオプション制度のあらまし   

一定のストックオプションの行使益は非課税
1. 株価80円の株を60円で取得した場合 差額20は経済的利益の供与を受けたものとして 課税される
2. 一定のストックオプションの場合 経済的利益20は課税されない(課税の繰延効果あり)
3. 株価100円のとき この株式を売却した時に 行使価格60円と売却価格100円の差額40に課税される


ストックオプションのあらまし
1. 会社から 役員などが付与された新株予約権のこと
2. 役員は新株予約権を行使することにより 自社株を取得
3. 会社から 配当収入を得るか 市場などで売却することにより 売買益を得る


非課税となる税制適格ストックオプションの要件
1. 税制適格の要件は 次の全てを充たし かつ 会社が税務署に 一定調書を提出しなければならない
2. 新株予約権の行使期間が 付与決議日から10年以内
3. 新株予約権の年間行使価額が 1200万円以下
4. 証券会社等に保管等を委託し、権利行使された株は証券会社等が保管


みなし譲渡課税に注意
1. 相続・贈与により保管委託された株が返還・移転した時 その時の株価により譲渡されたものとして課税
2. 税制適格要件を充たさなくなった場合も課税あり


4.諸事情により株を売買した場合の特例

保証人が保証債務の履行のため株を売買した場合 
1. 株を売却対価を 保証債務の弁済にあてた場合 一定要件のもと 譲渡益は課税されない
2. 一定要件とは 債務者の債務超過状態が継続している場合、会社更生法等・任意整理により債務整理している場合などが該当 


特定口座内の上場株が清算結了となった場合
1. その株の取得価額を譲渡損として計算する
2. 上場廃止により 特定口座から一般口座(特定管理口座)に移管し、その法人が清算した場合等が該当
3. 譲渡株式等の譲渡損失の繰越は適用できない


相続申告期限後3年以内に株を売買した場合
1. 相続税のうち一定額を 株の取得費に加算できる
2. 株売買益計算上 控除できる取得費は 被相続人の取得費を引継ぐ(相続税評価額が取得費にならない)
3. 株売却対価×5%を 株の取得費とすることもできる


株式交換等により新株を取得し、旧株を譲渡した場合
1. 旧株の譲渡がなかったものとする(課税の繰延)
2. 株式交換等により 旧株を親会社に売却し、親会社から新株の交付を受けた場合が該当
3. 新株を売却した場合 売買益(売却対価-旧株取得費など)に課税あり


5.証券税制のポイント(1) 

上場株式等についての改正
1. 平成21年~23年までの配当所得金額の税率は 配当金額に関わらず 所得税7%、地方税3%
2. 平成21年~23年までの株式譲渡所得の税率は 譲渡所得金額に関わらず 所得税7%、住民税3%
3. 平成21年5月でタンス株の特定口座受入が不可
4. 平成21年4月以降 相続等の一定事由に限り 特定口座へ受入可能


投資信託の償還・解約時の税金のあらまし
1. 投資信託の償還金等-信託元本=配当所得
2. オープン型証券投資信託の償還金等-信託元本=配当所得(信託調整金は考慮しない)
3. オープン型証券投資信託の特別分配金(収益調整金)は非課税
4. 株式(公募)証券投資信託の償還金等-取得価額=譲渡所得
5. 公募以外の株式証券投資信託などの償還金等の場合 償還金等-信託元本=配当所得、信託元本-取得価額=譲渡所得となる


一定配当について 配当控除不可
1. 一定の配当所得について 配当控除不可
2. 一定の配当とは 公社債等運用投資信託、外国株価指数連動型特定株式投資信託、特定外貨建証券投資信託、特定目的信託など


6.証券税制のポイント(2) 

先物取引の差金決済に係る税金のあらまし
1. 先物取引の差金決済は 雑所得等の分離課税(他の所得と合算しないで税額計算する)
2. 税金=(先物取引の収入額-手数料)×所得税率15%・個人住民税5%
3. 先物取引の差金決済損失は 他の先物取引の差金決済益から控除できる(他の所得から控除不可)
4. 先物取引の差金決済損失は 3年繰越控除できる


税制改正のポイント(上場カバードワラント)
1. 商品先物取引、有価証券オプション取引のほか 平成22年以降 上場カバードワラントの差金決済が 先物取引の差金決済の分離課税対象に追加
2. カバードワラントとは 権利行使日に権利行使価額と決済価額との差金を受け取る権利を証券化したもの
3. カバードワラントの権利行使、放棄、譲渡により雑所得等の金額を計算(平成22年以降 分離課税 所得税率15%、個人住民税5%)
4. カバーワラントの差金決済損失は 他の先物取引の雑所得金額から控除可、3年繰越可
5. 平成21年までの上場カバードワラントワラント差金決済は 総合課税(5%~40%)で損益通算不可、繰越控除不可
6. 取引業者等は カバーワラントの差金決済をする者の氏名・住所等の告知を受け、税務署に調書を提出



7.信託税制のあらまし 

信託による財産承継の仕組み
1. 信託とは 委託者が財産を 信託会社(受託者)に運用・処分を依頼し、運用益を 受益者に還元する仕組み
2. 信託契約終了時 信託財産を返還するか 信託財産を売却し、売却対価を委託者に還元するか いずれか


不動産管理信託の流れと税金のあらまし
1. 委託者は 貸アパートを信託会社に信託(所有権移転)し、受益者は信託会社から信託収益をえる
2. 受益者が貸アパートを所有しているものとして 信託財産に係る収益・費用から 所得税・消費税を計算
3. 信託契約終了時 信託会社が貸アパートを売却した場合 信託収益を受ける受益者が 譲渡したものとして 

譲渡所得税・消費税を計算


投資信託・貸付信託等の流れと税金のあらまし
1. 委託者は 金銭等を信託会社に信託し、受益者は信託会社から信託収益をえる
2. 受益者が信託収益を現実に受領した時 所得税を計算
3. 一定の信託会社による特定受益証券発行信託について 信託収益は配当所得として課税(配当控除不可)


受益者連動型信託の流れと税金のあらまし
1. 財産の受益者について 承継順(1次相続時は配偶者 2次相続時は長男など)を設定した信託
2. 信託設定時に 受益者に 贈与税等が課税