今回は土曜日ですので受験以外の話を。

ただ、現場での話に直結しますので、参考にどうぞ。

 

短時間でさっと書きましたので、かなり不充分です。

切っ掛け用として捉えて頂き、必要な部分は各自で掘り下げて下さい。

 

 

【擁壁の崩落】

 

先般、神奈川県の地盤が崩落し、下にある擁壁を破壊しました。

詳細は以下のニュースをご確認下さい。

 

 

崩落した場所は建物横がメイン。

一部は建物直下に及ぶかも知れません。

 

擁壁下で行われていた工事が適正であったかどうか、

また、原因や責任の所在はこれからの調査次第です。

 

直近で大雨や台風の通過はありませんでしたから、

もしかしたら擁壁下で行われていた工事の振動が影響したかも知れません。

 

また、世田谷区でも類似する状況が現出したようです。

 

こちらも擁壁が見事に割れて崩落していました。

 

 

【損害保険等】

 

原因追及の結果次第ですが、

損害保険等の支払はどうなるのでしょうか。

 

念のためサイトを巡回してみましたが、

どうやら擁壁崩落に関する損害補償は限定的なようです。

 

 

要点をまとめると、以下に集約できるようです。

(1) 擁壁に対する損害補償は、水災補償の区分による。

(水災補償の区分加入なしならゼロ)。

(2) 支払い事由は、大雨と自動車衝突の場合のみである。

(3) 地震保険に関しては、補償の対象外である。

 

また、損失の程度に応じて保険金額が決定されることから、

例え支払われたとしても、100%元の状態に戻すのは不可能かも知れません。

 

また、周囲に対して与えた損害に関しても難しいようです。

原因が不明瞭であり、現状では判断できません。

 

ただ、今回は誰に原因があって誰がどれだけ負担するのか、

誰が加入している保険でどの程度下りるのか、

誰が土地の現状回復費用を負担するのか、

 

…そうしたことで全くカネの流れが変わりますから、

何ともいえない部分も多く存在します。

 

 

【物件選定時のポイント】

 

相続対策や投資家へのアドバイスをする際のポイントです。

 

擁壁の直下や直上に所在する物件の取得や建築は、

できるだけ避けた方がよいでしょう。

 

まず、擁壁は大きな力を支えており、

それが崩壊する要因は幾つもあります。

 

擁壁の建築や修繕は多大な金額が必要であり、

一朝一夕に準備できるものではありません。

 

また、建築基準も厳しくなっており、

大昔に作った擁壁が現代の基準を満たしていないケースもあります。

 

その場合には、現代の基準を満たすように作り直さないと、

建物自体の建築申請が通らないケースもあるようです。

 

要するに、平地にある物件に比べてリスクが大きく、

かつ、大災害時にそれが極大化する可能性があるのです。

 

その他、直接擁壁を設置する必要がない場所でも、

過去には斜面が崩落して死亡事故に到るケースも発生しています。

 

このケースでは、所有者と管理組合、管理会社が提訴されるに到っています。

 

 

日本は国土が狭いため、

人口が稠密(ちゅうみつ)な地域では人がひしめき合っています。

 

当然、土地の有効利用を図るため、

崖地等の危険な場所も切り開いている場所がたくさんあります。

 

先祖代々等、元から持っている場合はともかく、

新規に取得することだけは避けたいものです。

 

 

なお、擁壁自体に関する概要は、以下のページをご確認下さい。

 

(擁壁構造図集、PDFのためテキストリンク)

https://www.city.kawasaki.jp/500/cmsfiles/contents/0000018/18269/h25-taku_sisin_10.pdf

 

 

 

とりあえず短時間で思い付くところまで。

佳き週末をお過ごし下さい。